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2009/10/25

"Dear John"原作「きみを想う夜空に」感想

2010年2月全米公開映画"Dear John"の原作「きみを想う夜空に」を読みました。
先日出た映画予告篇に惹かれ読んだのですが、心から人を愛することを男性の視点から書いた、とても心を揺さぶられる恋愛小説でした。

魔法のように恋に落ちた喜び、恋する過程で自分も変わっていく様子、離れている間の不安、せっかく会えたのに些細な気持ちの行き違いから喧嘩してしまういらだちなど、読みやすい文章で丁寧に描写され、ぐいぐい引き込まれ一気に読みました。

刺激的でもドロドロでもない恋愛だけど、「ほんとうに人を愛するとはどういうことだろう?」この書き出しの1行をじっくり考えさせられる小説です。


きみを想う夜空にきみを想う夜空に
(2007/12)
ニコラス・スパークス(著)
『きみに読む物語』の作者が書いた2006年世界でいちばん読まれた恋愛小説。
休暇で故郷の町に戻った陸軍兵士ジョン・タイリーが、ちょっと保守的な女子大生サヴァナと出会い、恋に落ち、深く愛するようになるという2000年6月から2006年6月までの物語です。

読み終わると表紙の意味と美しさに心打たれます。


物語は911により彼の軍務が伸びたり、家族の事情でなかなか一緒にいられなかったりと、いくつかの困難が二人を襲います。とはいえ、そんなにドラマチックでびっくりするような事件は起きず、ごく普通の二人が恋をしその顛末を追う形で進みます。
恋愛物ですが前半は恋愛より親子関係の修復や、自閉症やアスペルガー症候群の家族がいる登場人物の描写の方に涙がでてしまいました。

二人の恋愛は普段映画やドラマで見るアメリカ恋愛事情とは大きく違い、奥手で保守的で純愛です。そのせいか世代や年齢は違いますが、モーリーン・デイリの『十七歳の夏 (角川文庫)』にも似た、瑞々しく爽やかで少し懐かしい香りがする青春小説となっています。

ジョンは普段はドイツに駐留しているので年に一度二週間だけ一緒にいられる二人ですが、離れている時間が更に二人の想いを深い物にするというのは恋愛の本質をついていますね。
そうそう、恋愛って離れている時の方がずっと相手を恋しく好ましく想い、会えない時間が愛を育てる(ような気がする)もんだよなぁとしみじみしながら読みました。

恋愛小説というと女性向けが多いですが、この本は男性も気に入ると思います。
逆にちょっとヒロインがカマトト(死語)すぎで、女性の方が受け付けられないかもしれません。

こういう恋をできた人は幸せだと思いますが、それを胸のなかに仕舞ってる男性と結婚し、その幻影と戦うのは大変そうだなぁとあまり本書と関係ない感想をもってしまいました。ま、実らなかった恋愛ほど美化されて胸の埋もれ火になっちゃってるロマンチストは女性より男性に多そうですよね。

おすすめ度:★★★★★
題名:きみを想う夜空に
単行本: 374ページ
出版社: エクスナレッジ (2007/12)
ISBN-10: 4767806380
ISBN-13: 978-4767806389
発売日: 2007/12
商品の寸法: 18.6 x 13 x 3 cm

映画は「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウス・ルール」のラッセ・ハルストレム監督、チャニング・テイタムとアマンダ・セイフライドが主演です。
同じ原作者の「最後の初恋 [DVD]」の映画化はリチャード・ギア&ダイアン・レイン共演という以外あまりピンとこなかったのですが、本作監督のラッセ・ハルストレムは今年公開の「HACHI 約束の犬」で、押さえた演出と犬好き目線でお涙頂戴にならない上質の感動ドラマに仕上げていました。
本作もそのまま作るとコッテコテになりそうですが、この監督なら期待できそうです。
アメリカでの配給はスクリーン・ジェムズ(Screen Gems)というソニー・ピクチャーズ傘下コロンビア映画の子会社で、最近では「バイオハザード3」や「アンダーワールド: ビギンズ」を配給してるところなので、日本公開があるとしたら配給はソニー・ピクチャーズでしょうか?

主演二人もフレッシュで良い感じですし、父親役「扉をたたく人」の名優リチャード・ジェンキンスというのも楽しみです。ティム役ヘンリー・トーマスが年のわりに老けて見える人物と言っても、実年齢がアマンダ・セイフライドと15歳もの年齢差で「幼なじみ」設定は無理ありすぎるので、ここは設定を変えるのかもしれないですね。

原題:「Dear John」
監督:ラッセ・ハルストレム
原作:ニコラス・スパークス
脚本:ジェイミー・リンデン
出演:チャニング・テイタム、アマンダ・セイフライド、ヘンリー・トーマス、リチャード・ジェンキンス、キース・ロビンソン
全米公開:2010年2月5日
公式HP:http://www.dearjohn-movie.com/



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2009/08/04

The Lovely Bones原作「ラブリー・ボーン」感想&予告編

ピーター・ジャクソン監督により映画化され、全米で公開予定の映画"The Lovely Bones"の原作「ラブリー・ボーン」読みました。

ラブリー・ボーンラブリー・ボーン
(2009/06/20)
アリス シーボルト

レイプされ殺された14歳の少女スージーが、天国から事件後の家族や友人たちの生活を見守り、犯人の半生も追っていくというせつなくもファンタジックな物語。スージーが殺されたことで、「死」に直面し、それぞれのかたちの悲しみを受け止めきれずに静かに崩れてゆく家族の姿と、彼らがふたたび悲しみを克服しひとつになるまでの再生を描いた感動の物語。 (「BOOK」データベースより)

スージーの鈴がついた帽子が表紙で、以前のよりも良い感じですね。


残忍な犯罪によって未来を奪われた少女の目を通して、人生や人の繋がりについて考え、家族の再生を描いている小説です。地上の家族・同級生・BF・犯人を見守るスージーの一人称は、淡々として時に切なく、温かく彼らをを見つめ、応援し、その悲しみや喜びを、密かに分かち合っていきます。

冒頭で語り手の14歳のスージーはレイプされ殺され天国に行くのですが、そこは自分の欲しい物は何でも手に入る穏やかな世界です。ただたった一つ手に入らないのは地上で愛する人々とともに暮らし成長する事。肉体は滅び霊的な存在になってもスージーは自分の死が受け入れられず、自分がいなくなったあとの家族やBFがどんな思いでいるか、天国を抜けだし見にいきます。
この突然未来を奪われた少女の欲しい物やしたい事が、ごくありふれたもので、読んでいて胸が痛くなります。

スージーの死に対し父は犯人を捕まえる事に執念を燃やし、母は娘を守れなかったという呵責に悩み、父と母の間には溝ができてしまいます。姉に似た面立ちの妹も、姉の死の重荷に加え被害者家族という立場で思春期を過ごさねばなりません。小さい弟は死を理解できず、思春期には姉の死を克服出来ない家族にいらだちます。
また淡い初恋の相手や同級生達も、スージーの死に少なからず影響を受け生きていきます。
犯人はすぐそばでのうのうと生きているのに、家族や友人の心に深い影を落とし、その現在と未来に大きな棘となってジンジンと痛み続けています。

家族のキャラクターがしっかり書かれているため、リアルで深い悲しみがひしひしと伝わってきます。もし自分の家族がもぎ取られるようにいなくなったらと考えると、本当に堪らないです。でも逆に自分が逝ったあと、残された家族がこんなに苦しんでいたらそれも辛いと思います。

この小説がユニークなのは家族の崩壊と再生を描きながら、死んだスージーが自分の死を克服する物語でもある点です。
ファンタジー小説ではありますが、死者の魂と残された家族の心が本書のラストのように安らかであって欲しいと願わずにはいられません。

とても読後感の良い小説ですが、最後ある人物に取り憑く(?)ところはちょっと頂けない展開だったのでマイナス1ポイントです。

おすすめ度 ★★★★
ラブリー・ボーン
単行本: 485ページ
出版社: ヴィレッジブックス (2009/6/20)
ISBN-10: 4863321619
ISBN-13: 978-4863321618
発売日: 2009/6/20
商品の寸法: 19.2 x 13.8 x 3.6 cm

映画は指輪物語のピーター・ジャクソンが監督し、パラマウント映画配給で2010年日本公開予定です。子供がレイプされ殺されるという衝撃的な設定の作品だけにどう映画化されるか気になります。

予告を見た限りでは主演のスージーをはじめキャストは皆良い感じですね。
レイチェル・ワイズが14歳の子を持つ母親役というのは早すぎる気がしましたが、ねちっこい演技が巧いので、この母親役も嵌りそうです。スーザン・サランドンも酒好きの祖母の役で、豪快な感じがぴったりです。
また犯人のミスター・ハーヴェイ役のスタンリー・トゥッチは2009年8月7日全米公開Julie & Julia にも出ています。

ケイデン校長役のトーマス・マッカーシーは扉をたたく人、デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~ にも出演していましたね。

スージー役シアーシャ・ローナン、妹リンジー役ローズ・マクアイヴァー 、サミュエル役アンドリュー・ジェイムス・アレン、レイ・シン役リース・リッチーなどティーンの演技も気になります。
どんな映画になっているか楽しみです。

原題:The Lovely Bones
監督:ピーター・ジャクソン
出演:シアーシャ・ローナン、レイチェル・ワイズ、マーク・ウォルバーグ、スーザン・サランドン、スタンリー・トゥッチ、マイケル・インペリオリ
脚本:ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボーエン
公式HP:http://www.lovelybones.com/
全米公開:2009年12月11日、日本公開:2010年1月29日
上映時間:139分
配給:パラマウント



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2009/07/07

「女教皇ヨハンナ」感想 Pope Joan(原作)

「女教皇ヨハンナ」読みました。男尊女卑の時代に向学心に燃えて困難に立ち向かうヒロインの強さを臨場感あふれる文章でテンポ良く描き、一気に読ませるとても面白い歴史小説でした。

女教皇ヨハンナ (上) 女教皇ヨハンナ (下)
女教皇ヨハンナ (上)(2005/10)ドナ・W.クロス
女教皇ヨハンナ (下)(2005/10)ドナ・W.クロス
カトリック教会の公式記録から抹消され、伝承としてのみ語られてきた男装の女教皇。ヴァチカンが実在を否定しつづける伝説のヒロインが、いま歴史の闇から解き放たれる。歴史エンタテインメント


歴史の片隅にいたとされる女教皇の伝承を膨らませ、一人の女性の生き方を生き生きと描いた作品です。
時々フェミニズム全開の鬱陶しい発言や、時代的に色々突っ込みどころも多いですが、さくさく読める面白いエンターテイメント小説でした。

ヨハンナは兄たちと違い、文字を学ぶことも本を読むことを禁じられ、母の手伝いをすることを期待されます。師に巡り会い学問を修めるようになっても、無理解な父に妨害されたり、その後も女性であるが故の困難にぶち当たります。しかし彼女の向学心を止める事はできません。

ふと山岸凉子の「天人唐草」を思い出しました。
時代錯誤なまでに厳格な父にしつけられた娘が、狂気に至るまでの心理を描く作品ですが、当時読んだ女の子達から自分の境遇に似ていると共感する声が多数上がったのです。
そこまで厳格じゃなかったけど兄や弟とは違った、女の子なんだから○○しなさいと言われた、進路でもめたなどなど。現在では色々変わっていると思いますが、私たちが少女だった時代はまだまだ「女の子だから」で始まる小言が多かったのです。
多分この本の著者(1947年生まれ)のような才能ある女の子は、女であることで苦労した世代なんだろうなぁと思いました。
「人は女に生まれない。女になるのだ。」とは良く言ったもので、いつになっても多かれ少なかれ社会的・文化的な性差別はあるものです。
逆に男の子は「男」であることを求められるので、どっちが良いかなんて断言はできませんが。

男の跡継ぎもいないのにゲロルトが浮気もせずリヒルトを嫁にしたまま寝室別だなんてあり得ないとか、ヒロインも、師アスクレピオスも、ヒロインを助けるゲロルトやアルンも非常に現代的な思想の持ち主とか多少違和感もありますが、ストーリーに勢いがありテンポ良く進むのであまり気になりません。(でも、フェミ嫌いの人は苦手かもしれません。)

この小説はアメリカ人作家によるものですが、ヨハンナの生まれたドイツで非常に売れ映画化企画されたというのが面白いですね。ひょっとしてドイツの方が男社会なのでしょうか?

上巻表紙はカルロ・クリヴェッリ1477年頃描いた「マグダラのマリア 」、下巻表紙は1482年頃描いた「聖ペテロと聖ドミニクス」です。
主イエスの御足に香油を塗り自らの髪の毛でそれを拭ったとされる聖女、聖ペトロは初代のローマ教皇です。表紙として美しいだけじゃなくなかなか意味深ですね。

さて、映画はドイツで2009年10月29日公開予定です。この予告編を見てから原作読んだのでゲロルトがデイヴィッド・ウェンハムで脳内再生され困りました。
ヨハンナはインパクトに欠ける気がしますが、色々紆余曲折あったみたいなので仕方ないのかな~。
本を読んで改めて予告見ると本の色々なシーンが入っているのに気づきます。結構小説に忠実に作ってありそうで楽しみです。

「女教皇ヨハンナ」
原題:Pope Joan
監督:ゼーンケ・ヴォルトマン監督
出演:ヨハンナ・ヴォカレク,デイヴィッド・ウェンハム , イアン・グレン,ジョン・グッドマン
原作:女教皇ヨハンナ (上)、女教皇ヨハンナ (下)ドナ・W.クロス著 阪田 由美子訳 
ドイツ公開:2009年10月29日
IMDb http://www.imdb.com/title/tt0458455/



天人唐草―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)天人唐草―自選作品集
(文春文庫―ビジュアル版)

山岸 凉子


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2009/07/01

「タイムトラベラーズ・ワイフ」原作・きみがぼくを見つけた日感想

The Time Traver's Wife全米2009年8月14日公開予定の映画「タイムトラベラーズ・ワイフ」の原作「タイムトラベラーズ・ワイフ(改題:きみがぼくを見つけた日) 読みました。
SFっぽい設定ですが、運命で結びつけられた恋人同士のロマンチックな恋愛話で、運命的な恋に憧れる女性向けの内容でした。
私には合わない内容でしたが、文章や展開は巧みでロマンチック好きな女性には受けるストーリーだと思います。

きみがぼくを見つけた日 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)きみがぼくを見つけた日 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)
きみがぼくを見つけた日 下巻 (ランダムハウス講談社文庫)
タイムトラベラーズ・ワイフ改題
オードリー・ニッフェネガー著
羽田 詩津子訳
ストーリーは「初めての出会いはクレア6歳、ヘンリー36歳。未来から来たヘンリーが、突然クレアの前に姿を現わしたのだ。当然、驚いたクレアだったが、以来、彼がたびたび時空を超えてやってくるのを心待ちにするようになる。だが、18歳になったころ、彼はぱったりと姿を見せなくなり…。」という全米を感動させた純愛小説です。


もうタイトルでネタバレしていますが、タイムトラベラーのヘンリーが将来の妻クレアの所に現れるというストーリーで、このネタバレタイトル拙いだろと気づいたのか文庫本になった際には「きみがぼくを見つけた日」になってますが遅いですよね。ただ文庫の表紙はとっても可愛くて素晴らしいです。

で、この33歳位~43歳ヘンリーがクレア6歳~18歳の元に13年間152回も現れて遊んだり勉強を見てあげたりするのですが、将来の妻という目で見ているのが私には気持ち悪くて受け付けられませんでした。
光源氏に垣間見られ誘拐され理想の女性に育てられる紫の上みたいで気色悪いです。
親の立場だったら自分の6歳の娘が36歳男と裏庭で遊んでたら、いくら将来の夫でも嫌ですよね。
以下激しくネタバレなので白文字です。

もうその先も気持ち悪い展開がてんこ盛りで、クレア15歳~16歳の時、40代のヘンリーが性衝動を我慢してたり、18歳のクレアが41歳のヘンリーと初体験したり読んでてげんなりしました。
これ男女逆にして考えたらその気持ち悪さよく分かると思いますが、6歳の男の子の所に36歳の妻が来て勉強教えたり遊んだりして、男が18歳になったら初体験する話だったら鳥肌ものです。(あ、そんな邦画がこんど封切りされますね…。子供時代にしか現れないから気持ち悪くないけど。)
だいたい(タイムトラベルで)留守がちな41歳夫が18歳の女とやって帰ってきたら33歳妻が嫉妬しないのが不思議です。たとえ相手が過去の自分でも私だったら拗ねます。「私の人生で最高の日(はぁと)」って喜んでるクレアの心理がよく分かりません。(ちなみにこの夫婦本来は8歳差です。タイムトラベルのせいで年齢差がぐちゃぐちゃになってますが…)
ヘンリーは普通の人生を生きる為に未来の自分から過去の自分にアドバイスはしないと言いつつ、未来情報使い株や宝くじで儲けるのもずるいし、クレアと出会ったとたん前カノを24時間以内に捨てるのも嫌な感じです。君とは運命の恋だから、君に会うまで他の女と寝てただけという28歳男と付き合ってた前カノ29歳が気の毒でなりませんでした。
だいたい数年付き合った29歳女から20歳女に乗り換える場合、もっと注意払うべきですよね。

思うにこれをロマンチックと思えるのは運命の恋に憧れる30代までの未婚女性でしょう。薹が立った私には理解不能な展開でした。作者は男性かと思っていたら、意外にも41歳の女性で驚きました。
考えたら源氏物語作者も女性の紫式部ですが、平安時代は天皇に嫁ぐのは女性の一番の出世だし、最後紫の上は出家を望んだりその苦悩と心理を理解できるんですけど、クレアの心理は全く理解不能です。

生きてるとああすれば良かった、こうしたら違ったのにと思うことがあります。今の自分なら過去の難局も切り抜けられるのに、今の自分が過去のあの場所にいればきっと違った結果になり現在は幸せになれたんじゃないだろうか?そういう事が普通の人間には一杯あるのに、ヘンリーがタイムトラベルで全て解決するので、ヘンリーとクレアにとっては非常に都合良くストーリーが展開するのもモヤモヤしました。

下巻はタイムトラベルという障害のため試練に曝される二人ですが、タイムトラベル故の試練じゃないし、それで苦しんでる夫婦も実際一杯います。
だいたいとってつけたようにタイムトラベルを遺伝病の一種としているのに、ヘンリーが誰から遺伝したかという問題には一切触れず終いで、じゃぁどうして遺伝病だって判ったのか全く不明です。子供時代に発病してるんだから、ヘンリーの親が何の対処もせず、遺伝病なのに自分をもうけた親との軋轢がないのは変だと思います。
SFだったら絶対その辺を書いてる部分はまるで無視です。
一応、タイムトラベルをコントロールできないヘンリーを色んな時代につなぎ止めるのは愛するクレアの存在だという設定はあるんですが、気色悪い展開のせいであまり感動的な設定に思えません。
逆に全編サービスシーンというかいちゃつく描写が多くてげんなりしました。ハーレクイン小説だって1冊に2~3回くらいですよね。いくら夫婦でもいちゃつき過ぎだと思います。

というわけで、SFとしては展開がかったるいし長すぎますが、文章や構成は非常に巧みなので、ロマンチックなラブストーリー・運命で結びつけられた恋人同士の純愛小説としてロマンス好きな層には(多分)受ける内容だと思います。

おすすめ度:★★★☆☆
きみがぼくを見つけた日 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)
きみがぼくを見つけた日 下巻 (ランダムハウス講談社文庫)
タイムトラベラーズ・ワイフ改題
オードリー・ニッフェネガー著
羽田 詩津子訳
税込価格:上巻 \924 (本体 : \880) 下巻¥ 893(本体:\850)
出版 : ランダムハウス講談社


全米では製作のニューライン・シネマを吸収合併したワーナーの配給で2009年8月14日公開です。
映画予告もイチャイチャしすぎであまり内容がなさそうな気がします。(って、この予告しか見てないのに判断してごめん。)


原題:The Time Traver's Wife
監督:ロベルト・シュヴェンケ(フライトプラン)
脚本:ブルース・ジョエル・ルービン(ディープ・インパクト、ゴースト ニューヨークの幻)
原作:オードリー・ニッフェネガー
出演:レイチェル・マクアダムス、エリック・バナ、ロン・リビングストン
公式HP:http://www.thetimetravelerswifemovie.com/

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2009/05/24

「わたしのなかのあなた」My Sister's Keeper原作感想

キャメロン・ディアス主演、アビゲイル・ブレスリン出演で、2009年6月26日全米公開予定の”My Sister's Keeper”の原作「わたしのなかのあなた」読みました。

デザイナーベイビー・臓器移植・訴訟という重い題材を扱っていますが、小説は家族のドラマがテーマとなっています。
物語は家族や訴訟に関わった弁護士・訴訟後見人それぞれの視点から語られるので、娘視線では母の身勝手と思えた行動が次章の母目線になると果敢に娘の病と闘う苦悩が分かるという一人一人の心の機微が見え厚みのある物語になっています。

わたしのなかのあなた (Hayakawa Novels)わたしのなかのあなた (2006/09)
著者:ジョディ ピコー
アナ・フィッツジェラルドは13歳。白血病を患う姉ケイトのドナーとなるべく、遺伝子操作によってデザイナー・ベイビーとして生まれてきた。
それ以来彼女は、臍帯血の提供にはじまって、輸血や骨髄移植など姉の治療のためにさまざまな犠牲を強いられてきた。ケイトの病状は一進一退を繰り返し、両親はついに残された最後の手段である腎臓移植を決意する。
だが、アナはこれを拒み、弁護士を雇い両親を相手取って訴訟を起こす。「もうこれ以上、姉の犠牲にはなりたくない。自分の体に対する権利は自分で守りたいの」と。突然の娘の反乱に戸惑う両親。しかし、アナの決意は変わらない。はたして前代未聞の裁判の行方は?そしてケイトとアナの姉妹の運命は…!?(「BOOK」データベースより)
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デザイナーズ・ベイビーは許されるのか、子供の生体腎臓移植は誰が判定するのかというのは倫理的にも大きな問題だと思います。

元弁護士の母サラや消防士の父ブライアン、息子ジェシー、ケイト、アナ、どの立場も理解でき、自分だったらどうするだろうと考えずにはいられません。

アナは姉のドナーとなるべく生み出された存在でドナー以外の価値があるのか親の愛情を疑う場面もありますが、一方で姉とは友達以上の強い絆と愛情で結ばれています。
重病の家族がいればそれが家族の一大事、それ中心に回ってしまい、疎外感を覚えた長男が問題ばかり引き起こす気持ちも分かります。
しかし母のできる事は何でもして白血病の娘ケイトを助けたいという気持ちも良く分かり、誰が正しいのか、どうするのが正解なのか答えを出すのが難しい問題です。アナが臓器移植を拒否するのは、姉ケイトの死刑宣告と同じです。
そして訴訟が始まる数日の間にも姉ケイトの病状はどんどん悪化し臓器移植のタイムリミットが迫って来ます。

私自身未熟児として生まれ、たぶん100年前だったら育つ事無く死んでいた、医学の発展の恩恵を受けた人間です。
また、身内が病に倒れれば、躊躇なく自らドナーになって臓器を提供すると思います。
でも他人事として「もう一人の娘を助けるために子供を作り、切り刻む」とだけ聞いたら、なんと身勝手な母親だと不快に思い、その「いのち」に対する不遜な態度に腹が立つでしょう。
臓器提供という大きな犠牲を娘に迫るというのは一種の虐待ですし、断る事のできない心理的な圧迫も許し難いと思います。

旧約聖書の父アブラハム(そういえば妻の名前はサラですね)によって神に供えられるイサクのようにアナは抵抗せず屠られるべきなのか、それとも断って姉を見殺しにした妹として生きるか、この家族や弁護士に自分の身を置き換えて考えてもこれが絶対正しいという答えがでません。

小説はクライマックスで意外な展開をとげ、この大きな問題に作者は直接答えを出していません。
こういう問題に正解はなく、読者がそれぞれ答えを出すしかないという事でしょう。
でも私はこのラストに作者の逃げを感じ納得出来ませんでした。
家族の物語として良くできているし、倫理的にも色々考えさせられましたが、最後のせいでマイナス20点です。

おすすめ度:★★★★

わたしのなかのあなた (Hayakawa Novels)
ジョディ ピコー (著), Jodi Picoult (原著), 川副 智子 (翻訳)
単行本: 630ページ
出版社: 早川書房 (2006/09)
ISBN-10: 4152087633
ISBN-13: 978-4152087638
発売日: 2006/09
商品の寸法: 18.4 x 13.2 x 3.4 cm

My Sister's Keeper映画はキャストを見る限り、弁護士と後見人の恋愛はばっさり切るようですね。予告見たら犬はいたので設定はそのままかもしれません。
内面の心理描写が多い本なので、そのままだと独白だらけの話になりそうですが、「きみに読む物語」コンビの監督・脚本なので深いテーマでも重すぎずさわやかな感動を呼ぶ家族ドラマになっていそうです。
日本のワーナーブラザースHPには今のところ載っていませんが、キャメロン・ディアス主演ですし姉ケイト役ソフィア・ヴァジリーヴァの美しい金髪を剃った体当たり演技も見たいので公開してほしいですね。

原題:My Sister's Keeper
監督:ニック・カサヴェテス(「きみに読む物語」)
脚本:ニック・カサヴェテス、ジェレミー・レヴェン
出演:キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、ソフィア・ヴァジリーヴァ、ジェイソン・パトリック、アレック・ボールドウィン
全米公開:2009年6月26日
日本公開:2009年12月予定( ギャガ・コミュニケーションズ配給 )


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