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2010/09/18

映画「瞳の奥の秘密」感想

「瞳の奥の秘密」見てきました。
25年前と現在という2つの時代にまたがったミステリーでありながら恋愛ものという複雑な作りなのに、ちっとも難しくないのは脚本が良いからですね。
台詞によらず、視線や仕草だけで物語の重要な場面を見せてくれる映画らしい映画で、良いもの見たな~という満足感で一杯になりました。流石に2010年アカデミー外国語映画賞受賞作ですね!劇場でもリピーター多いというのも頷けます。何度でも見たい映画です。


ストーリーは「刑事裁判所を定年退職したベンハミンは、25年前に担当した未解決の殺人事件についての小説を書くことを決意する。事件当時の職場を訪れ、元上司の検事補イレーネと再会したベンハミンは、当時の捜査を振り返りながら、殺人事件の裏側に潜む謎に迫っていく……。」というものです。

実は見る前にうっかりネタバレを見てしまい、鑑賞を躊躇していたのですが、見始めたらそんな事気にならないほど引き込まれました。確かにオチを知らない方がもっと楽しめたとは思いますが、俳優さんの熱演、確かな演出、素晴らしいセットと時代を巧く捉えた衣装・小物、撮影、音楽、そして肌のハリ・シワ・体型の変化などのメイクアップも登場人物の25年という歳月を感じさせてくれ、物語に厚みを与えていていました。映画というのは総合芸術っていいますが、沢山の職人さんの技術の結晶というのが実感できる作品でした。

よくよく見たら主演のリカルド・ダリンは1957年生まれの53歳、主演女優のソレダ・ビジャミルは1969年生まれの41歳と決して若くはないし、初対面の場面などはちょっと無理があるのですが、ベンハミンの恋する瞳越しにイレーネを見るので、美しく眩い若い上司に見えてしまいます。また被害者妻がすっごい美女なので、夫も他には目もくれずずっと愛し続けるのね~と妙に納得してしまいました。

伏線もみんな良いですね~。特に「怖い」のメモ。「いくじなし」な彼は自分の気持ちに向き合うのが「怖」かったんでしょうね。でも事件を小説に書く事によって、自分にも向き合いある決心する。「簡単ではない」でしょうが、すっきり心地の良い展開でした。
折り入って話があるとベンハミンが部屋に入ってきた時、イレーネがドアを締めようとするシーン。席を立った彼女の体型で色んな事が分かるのも良いですね。
どの登場人物もどんな背景がありどんな性格だというのがはっきりしてるので、そういう行動になったというのが納得できちゃうキャラクターを活かした脚本が素晴らしいですね。
ストーリーに絡んだ美術の小物使いも光ってます。伏せられた写真立て、Aが壊れたタイプライター、女を見つめる写真。どれもパズルのピースのようにストーリーの一部になっています。


殺人事件が起きた1974年、アルゼンチンは政治的に混乱し経済も悪化した時期で、1976年にはクーデターで軍事政権が誕生、国民を弾圧し3万人が犠牲になった「汚い戦争」が始まったという時代背景を知らなくても腐敗した政治情勢だというのは伝わってきます。理不尽な犯罪で愛する者を奪われた立場だったら、こんな滅茶苦茶な司法状況に憤りを感じるでしょう。
被害者家族にとっての刑罰の意味についても考えさせられる映画でした。




邦題 瞳の奥の秘密
原題 El secreto de sus ojos
監督 フアン・ホセ・カンパネラ
製作総指揮 ヘラルド・エレーロ、バネッサ・ラゴーネ
製作 マリエラ・ベスイエフスキー、フアン・ホセ・カンパネラ
脚本 エドゥアルド・サチェリ、フアン・ホセ・カンパネラ
音楽 フェデリコ・フシド
撮影 フェリックス・モンティ
編集 フアン・ホセ・カンパネラ
上映時間 129分
製作国 アルゼンチン
言語 スペイン語
公式HP http://www.hitomi-himitsu.jp/
出演:リカルド・ダリン、 ソレダ・ビジャミル、パブロ・ラゴ、ハビエル・ゴディーノ、 カルラ・ケベド、ギレルモ・フランセーヤ
IMDB http://www.imdb.com/title/tt1305806/
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2010/09/18

映画「バイオハザードIV アフターライフ」

3Dで撮影され3Dで編集された映画「バイオハザードIV アフターライフ」見てきました。最初から最後まで飛び出しっぱなしのアトラクション映画でした。
逆に言えば3Dを使いたい為に、アクションを考え、それをつなげて脚本にした感じで、ストーリーは整合性無くメチャメチャですが、このシリーズはパート1からずっとバイオハザードの世界観を楽しむ娯楽作品なのですからこれはこれでOKだと思います。

ストーリーは今回もアリスがウイルスまみれの密閉空間で戦う話なので省きます。

昨年の「アバター」ヒット以後、撮影済みの一部を3D化した映画が増えていますが、ここまで完全3Dな実写映画は初めての体験でした。
ディズニーランドや万博のパビリオンで楽しんだ3Dがアニメ以外でここまで長時間使われているのに単純に感動しました。
3Dの特性を活かした場面を考え、そこから脚本を作るという作り方は、ゲーム開発と共通する点が多く、これからもゲーム原作の3D映画は増えていくでしょうね。
とは言え、3Dもこんなに長時間だと目が疲れます。画面も眼鏡のせいで暗いし、まだまだ改善点は多いと思います。

ただプレイするゲームと違って映画は観客は受け身なので、3Dを見せたいが為のアクションシーンがストーリに関係無く繰り返され飽きてしまいました。キャラクターの個性がストーリーに活かされず、どっかで見たような(マトリックス、プリズンブレイク、ヒーローズ等々)をつぎはぎしたような薄っぺらい脚本です。ゲームのファンなら楽しめる設定や展開があったのかもしれませんが、私はゲームやらないのでよく分かりませんでした。パート1からずっと同じ話の繰り返しですよね。
でもまぁ、音楽は緊張感をいや増してくれるし、ミラ・ジョボビッチは相変わらずスタイル良いし、ウェントワース・ミラーはプリズンブレイク後半の肥満体から痩せて格好良く戻ってるし(しかも設定はアレだし)、ウェスカーは簡単にやられるわりに不死身だし、冒頭日本語で始まるので「あれ?吹き替え版だったっけ?」と「インセプション」と同じ不安感に囚われるなどそれなりに楽しめる所も多いです。

そうそう、中島美嘉が最初の感染者役で出演してました。今年のハリウッド映画は日本人の出演多いですね!「インセプション」の渡辺謙、「Scott Pilgrim vs. the World」の斉藤祥太・斉藤慶太、「プレデターズ」のルイス・オザワ・チャンチェンなどなど。急に増えたからちょっぴり不思議です。

突っ込みいれたり、真剣に整合性を考えるような映画じゃないので、期待値を思いっきり下げポップコーン買って見るのが正しい鑑賞法。アクションもスローが多くて、2Dだとインパクトなくてつまらなさそうです。3Dによる3Dの為の映画ですから、3D鑑賞を勧めます。
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2010/08/16

映画「キャタピラー」感想

とても衝撃的な作品です。反戦映画ではありますが、それよりも夫婦とは何か、意志の疎通が出来ない配偶者同士がどう向き合き合いどう生きていくかという事について考えさせられました。
ともかく俳優陣の熱演が素晴らしいです!第60回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した寺島しのぶに圧倒されましたが、密室劇のような息詰まる夫婦の心理戦をセリフらしいセリフもないのにうなり声と眼力だけで演じた大西信満も凄かったです。きわどい性愛シーンもあるので気楽に楽しめる作品ではありませんが見て良かったなぁと思わせる1本でした。

ストーリーは「第2次世界大戦中の日本。シゲ子の夫・久蔵にも赤紙が届き、勇ましく戦場へと向かったが、戦争から戻った久蔵の顔は焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。多くの勲章を得た久蔵は「生ける軍神」として村民から崇められ、久蔵も自らを称えた新聞記事や勲章を誇りにしていた。久蔵の食欲と性欲を満たす事の繰り返しの日々の悲しみから逃れるようにシゲ子は「軍神の妻」としての自分を誇示するかのように振る舞い始める。やがて日本に敗戦の影が色濃くなっていく。」というものです。

出征した家族がいれば無事で帰ってきてほしい、五体満足でなくても生きてさえ戻ってきてくれたらと願わずにはいられないものでしょう。でも実際に四肢を失い話すことも聞くこともできない状態で戻って来たら…という衝撃的な冒頭で、実妹や父も「こんな状態で帰って来られても…」、「義姉さんを実家に返してなくて良かったわ」と厄介者を妻のシゲ子に押しつけて去り、夫婦二人の心理劇のような物語が始まります。
夫との間には愛や愛着もなく、あるのは儒教的道徳観に根ざした良妻でなければという義務感だけのシゲ子と、自らを称えた新聞記事や勲章しかない久蔵の「食べて寝て、食べて寝て、食べて寝て」という繰り返される生活。
この辺の閉塞感は見てるこっちも息苦しくなるほどでした。

しかも出征以前から夫は専横的で暴力で妻を支配していた事がわかり、手足を失い全ての世話を妻に頼りながらも相変わらず横暴に振る舞う夫を逆にいたぶる妻の嗜虐心も痛いほど分かります。今だったら我慢せずとっとと別れてしまいそうですが、嫌悪や忍従、感情の爆発の末、シゲ子が得た境地に、ほのかな希望が見える流れでした。(まぁ、その後あんな事になっちゃいますが…)


低予算でたった12日間で撮影したそうですが、俳優陣の迫力ある演技で、非常に怖くて緊迫感溢れる物語になっています。ただ後半の戦争についての描写(犠牲者数の字幕、原爆雲、ラストの元ちとせの歌など)反戦メッセージは唐突で直裁すぎ。ここはバッサリ切って夫婦の話にしぼった方が良かったんじゃないでしょうか?
事故や疾病や加齢で介護が必要になることや、身体的には障害はないにもかかわらず意志の疎通ができない夫婦はいっぱいいるので、身に染みる人が多そうですよね。
逆に劇中で歌われる軍歌の歌詞が難しくて分かりにくかったのでルビ付きの字幕もあれば親切だと思うのですが、反戦映画という性格上歌詞は意味がない美辞麗句という位置付けなのかもしれません。



監督:若松孝二
脚本:黒沢久子、出口出
上映時間:84分
出演:寺島しのぶ、大西信満、吉澤健、粕谷佳五、増田恵美、河原さぶ、石川真希、飯島大介、篠原勝之、地曵豪、ARATA
公式HP:http://www.wakamatsukoji.org

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(2008/07/25)
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映画では原作とはクレジットされていません。


この手の映画の感想書くと返事に困るコメントがつくので、申し訳ないですがコメント欄は閉じておきます。
映画の感想 | Trackback(4)
2010/07/17

映画「インセプション」感想

インセプション見て来ました。いや~、面白かった!みたことない映像に迫力の音楽、大がかりなアクションがたたみかけるように展開し148分が短く感じました。これは絶対劇場向きの作品です。大きなスクリーンで迫力の映像と音響で、148分ノーラン監督の夢の中に引き込まれて下さい。必見です。

ストーリーは「眠っている人間の潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション(植え込み)」という最高難度のミッションが与えられる。」というものです。


ストーリーが悪夢のように絡み合い、幾重にも重なって同時進行し、次々に色んな出来事が起こるのでぼ~っと見てるとちょっと混乱するかもしれません。
でも基本的には夢が舞台の「ミッション:インポッシブル」です。指令を受けた組織のリーダーが、作戦をたて選ばれたメンバーとともに遂行するという単純なストーリーです。あとは夢の世界のルール、夢が幾層にも重なっており下の階層にいくほど体感時間が長いとか、普通の夢なら夢の中で死んだら目が覚めるとか、キックという衝撃が合図になるとか、トーテムで夢と現実の区別をつけるとかが作中で説明されますがそこを頭に入れておけば、ストーリーを見失うことはありません。

舞台が夢なので、現実にはあり得ない映像が満載、危険が次々に身に降りかかり、不条理な展開がこれでもか~っというくらい出てきちゃいます。
予告編でも使われていた、街が折り曲がり、歩く先に橋が出来たり、無重力シーンの格闘シーンなど、誰もが知ってる現実を、夢の中で再構成したらこんなふうにねじ曲がり不思議な組み合わせになるというのを、夢そのままに映像化しちゃったノーラン監督って本当に凄いですね!
CGは最小限しか使ってないそうなので、ほぼ実写だと思うのですが、どうやって撮影したのか不思議で仕方ありません。無重力シーンなど、おそろしく手間がかかっているんじゃないでしょうか?
3D映画やCGをふんだんに使った映画ばかりになっていますが、実写でもそれ以上の見た事ない映像を作れるんだというのを見せつけられました。
ダークナイトでもてっきりCGだと思った場面が後から実写(スタント)と分かってびっくりしましたが、このできるかぎり実写というこだわりが映像に陰影と重みを与えているんでしょうね。
追記:公式HPのプロダクションノートに無重力廊下の撮影方法が載っています。)
公式HP→メニュー→アバウトムービー→プロダクションノート

ハンス・ジマーの腹に響く音楽も良いですね!ドワ~ン・ドワ~ンという重低音がとっても効果的に使われ「悪夢」らしさがいや増しています。
あと編集も素晴らしい!幾重にも重なった夢が同時進行してるという複雑な作りなのに、スピーディな展開でもたつかす、ぐいぐいストーリーに引き込まれてしまいました。
追いつ追われつのカーアクションの間に無重力ホテルのじりじりした展開をはさみ、心理戦で緊張したあとは、雪の山荘アクションシーンですかっとさせるといった緩急ある流れがお見事でした。

また俳優陣がみな活躍して、それぞれ見せ場がありました。特にジョゼフ・ゴードン=レヴィットは「(500)日のサマー」のヘタレカワイイ役や「G.I.ジョー」の出演する価値も無かった役とは違ってアクションも沢山こなし大活躍してます。本作で私の中では人気大爆発です。
謙さんもがっかり出演だった「バットマン・ビギンズ」とは違い、ほぼ出ずっぱりの重要な役でした。

ひとつ残念だったのは、撮影中話題になってたやつれたディカプリオはあまり痩せて見えませんでした。まぁ確かに変わって見えたけど、特殊メイクのお陰って感じです。丸顔だから体が痩せても顔はあんまり変わらないんだよね…。体重自由自在のクリスチャン・ベールの激やせ面変わり並の変身を丸顔のディカプリオに期待してはダメですね。
(ちょっとネタバレなので白文字で書きますが冒頭から「コレが終わったら家に帰るんだ…」という失敗フラグ立ちまくりのコブが(見た目にはわからないけれど)やつれる程永い年月あそこに留まって自分を捜してくれてたのに気づいた謙さんの表情素晴らしかったですね~。あのシーンが現実で、あれが止まって欲しいと願わずにはいられないラストでした。
また基本的に悪人は登場せず、敵のキリアン・マーフィーさえも仲間になっちゃう展開も新鮮で良かったです。
まぁ、対抗勢力に買収された航空会社の飛行機にいくら非常時でも乗るかってツッコミも無論ありますが…

痩せてなくても相変わらす演技は巧いです。でもディカプリオの他の映画「シャッターアイランド」や「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」も、すべてこの映画のなかのディカプリオの見ている夢なんじゃないだろうかって気さえしてきます。そういえば全て夫婦関係に悩んでるのも共通してますね~。


マリオン・コティヤールも本当に綺麗。とっても素敵でした。ノーラン監督にしては珍しく美しく女優を撮ってるな~と思いました。でも相変わらずかなり男性的な映画ですね。エレン・ペイジが紡ぐ夢も女性らしさのカケラもありません。あんなふうに摩天楼の都市を造るってのは少年が見る夢っぽい。まぁ建築好きな女性もいるので決めつけちゃいけませんが…。

アクションシーンも多く、148分ハラハラドキドキ楽しめるこの夏必見のサマームービーです。ただし「ダークナイト」のように人間について考えさせられる場面はないので、ストーリーはすこし物足りないかもしれません。

ただ一つ注意点として、始まる前に絶対トイレに行っておきましょう。



原題:Inception
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
製作総指揮:クリス・ブリガム
撮影:ウォーリー・フィスター
美術:ガイ・ヘンドリックス・ディアス
編集:リー・スミス
音楽:ハンス・ジマー
出演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、キリアン・マーフィ、トム・ベレンジャー、マイケル・ケイン
上映時間:148分
公式HPhttp://wwws.warnerbros.co.jp/inception/mainsite/
■DVDが12月7日発売です。
種類ブルーレイ1
本編&特典映像収録
ブルーレイ2
特典映像
DVDディスク
(本編&特典映像)
トーテム(コマ)「夢共有装置」
取扱説明書
スチールブック仕様画像
Amazon限定
スチールブック仕様
\4784
×B0042VJ8II
プレミアムBOX
\3651
×B003CN5VYM
ブルーレイ & DVDセット
¥2917
×××B0042RVBXC
DVD
\2550
×××××B0042RUEZ8


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2010/05/14

映画「オーケストラ!」感想

「オーケストラ!」見てきました。
政治に翻弄された人々がたくましく生きる様子に笑わされ、ホロリとし、最後は音楽の持つ力にじ~んとさせられました。特に12分22秒のラストシーンは、あまりセリフはないのに音楽と演技だけで奇跡が起こっている事が伝わってきてまさに圧巻でした。後味もすっきり、評判が良いのも納得の素敵な映画ですね。
クラシックやロシアについて知識がなくても世代関係無く楽しめるコメディ作品です。ただベーゼが現在では口づけという意味では使われていないなど、現在のフランス語について知識があれば、もっと笑えそうだったのが唯一もったいない点でした。

ストーリーは「1980年、ロシア・ボリショイ交響楽団から多くのユダヤ人が排斥され、それに反対した天才指揮者のアンドレイも楽団を解雇されてしまう。いつか復職する日を夢見て劇場清掃員として働いていたアンドレイは、ある日パリのシャトレ座から送られてきた出演依頼を見つけ、偽のオーケストラを結成することを思いつく。」というものです。

ソ連時代プレジネフ政権下で排斥されてから30年、アンドレイ以外の元楽団員も皆苦労し、救急車やタクシーの運転手、引っ越し屋、ポルノ映画の音響技術者、博物館の監視員、蚤の市業者など様々な職業についています。しかし理不尽な状況を嘆く作りではなく、パワフルにたくましく生きている姿がなんともユーモアーがあって楽しかったです。

予定をすっぽかし自分勝手に行動し呼び出しも無視する彼らと、ソリストのアンヌ=マリー・ジャケ、指揮者のアンドレイそれぞれの過去と気持ちがチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」を演奏するうち一つに昇華していくラストは、コンサートを見た時のように拍手喝采をしたくなりました。

オーケストラの楽器のように個性豊かな登場人物(ロシア人、ユダヤ人、ロマ、フランス人、ロシアンマフィア、ロシアの大富豪)を活かした協奏曲のような脚本・演出がこのカタルシスを生んでいるんでしょうね。

基本コメディなので、あり得ない展開や無理がある設定もあります。
練習シーンが全くなかったり、60人分のパスポートとビザがずっと通用したり、初めてのパリでフランス語も分からないのに商売できてたり…などなど。でもそこ突っ込むのはヤボと思わせ、粗も気にならなくなるのは、最後の演奏シーンが素晴らしいからでしょうね。
主要なキャスト以外の楽団員は本物の音楽家を使ったそうで、演奏シーンにリアリティがあります。ヴァイオリンソリスト役のメラニー・ロランの指と弓はちょっと不自然なところもありましたが、知的な美しさと華があってぴったりの配役です。「イングロリアス・バスターズ」の時より綺麗になってる気がしました。
またコンサートシーンは演技や演出も良いけど、カメラワークも素晴らしく、登場人物の心の動きがしっかり画面から伝わってきました。また彼らのその後までさらりと見せてハッピーな気持ちにさせてくれる編集も良かったです。

あり得ない設定と言いましたが、「ソ連時代プレジネフ政権によってボリショイ交響楽団からユダヤ人音楽家たちが排斥され、彼らを擁護するロシア人もまた解雇された」というのと「2001年偽のボリショイ・オーケストラが香港で公演」というのは実話らしいです。ロシアにはガス油田でボロもうけした大富豪も実在しますし、パリ・コミューンに憧れるロシア共産党員やロマの演奏家もいそうですよね!

映画はクラシックの他、テクノなどさまざまな音楽が使われています。特にロマの宴会シーンは生活の中に音楽があり、それを楽しむ気持ちの豊かさが溢れている素敵なシーンでした。

映像的にはDVDでも十分ですが、臨場感ある演奏シーンを楽しむには音響の良い劇場で見た方がおすすめです。



冒頭10分の動画も公開されています。
http://gagamovie.channel.yahoo.co.jp/index.php?itemid=158


邦題:オーケストラ!
原題:Le Concert
監督・脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ
出演:アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、ドミトリー・ナザロフ、ミュウ=ミュウ
上映時間:124分
公式HP: http://orchestra.gaga.ne.jp/

B003COBQTK オーケストラ! サントラ【全28曲】
 3. ナニナニ 、7. カリンカ 、9. カルゥ 、11. 交響曲第1番「巨人」第3楽章より 、13. 剣の舞 (DJ Ahmed Remix) 、14. ピアノ協奏曲第21番第2楽章より 16. ツィガーヌ 、26. ヴァイオリン協奏曲より など
amazonで一部試聴可。

劇中使用曲:モーツァルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調KV467」、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35」「白鳥の湖」、バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007」「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ長調BVW1043」、ロッシーニ「ウィリアム・テル」、シューマン「夕べに」「なぜ」、ドビュッシー「西風の見たもの」、パガニーニ「24のカプリース作品1」、ハチャトゥリアン「剣の舞」、マーラー「巨人」、リムスキー=コルサコフ「交響組曲「シェラザード」Op.35」、ラロ「スペイン交響曲ニ短調Op.21」、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調Op.64」他


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