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2010/03/07

映画「ハート・ロッカー」感想

「ハート・ロッカー」見てきました。2004年のバグダッドを舞台にアメリカ軍爆弾処理班を描き、臨場感溢れる画面で「戦争が人にもたらすもの」について色々考えさせられる映画でした。スローモーションで爆発瞬間の地面から土砂が舞う描写・無音になる演出、手持ちカメラや遠隔操作ロボットからの映像を混ぜた編集がこの臨場感を生んでいるのでしょうね。
ストーリーだけ追うと「スリルが好きで爆弾処理やってもいいよね?人助けにもなるし」を、淡々とドキュメンタリータッチで描いているため、映画的な盛り上がりに欠け物足りなく思う人もいるでしょう。でも戦争のもつある側面をしっかり見せてくれる作品でした。

戦時下のイラク・バグダッドで爆発物処理に従事する特殊部隊EODの活躍を描く本作のストーリーは「04年夏、これまでに870以上の爆発物を解体処理しているジェームズ2等軍曹がEODの新リーダーとして赴任してくる。部下となったサンボーンとエルドリッジはあと39日でEODの任務から外れる予定だったが、恐れ知らずのジェームズにより、これまで以上の危険にさらされることになる。」というものです。

戦争とは国の正義と正義のぶつかり合いで「勝てば官軍、負ければ賊軍」勝った方が正義となるシステムです。
じゃあイラク戦争に勝ったアメリカ軍が正義かというとかなり疑問です。イラクの街でイラク国民に銃を向け英語で「携帯捨てろ!」と叫んでいるのを見ると何かちょっと違うよなぁと思ってしまいます。(とはいえ携帯オヤジはテロ犯なので私の違和感はタダの平和ボケなんでしょうね。)

一方アメリカ人兵士も死の恐怖に怯えながら危険な任務に従事しています。何度も軍医に不安を訴える兵士。描かれてはいませんが彼も強い正義感に駆られ平穏なアメリカでの暮らしを捨て従軍したのでしょう。でも実際イラクに来ればどこに敵がいるか分からない常に緊張を強いられる生活を1年近く続けねばなりません。そしてさっきまで生きていた同僚が死んでしまう、それは自分の1秒後の姿かもしれません。

イラク国民にしても戦争は終わったはずなのに、爆弾が見つかれば避難し、テロに巻き込まれ命を落とす事もあり、平穏に暮らせる状況ではありません。
バグダッドといえばメソポタミア文明の頃から栄えた交易の町・千夜一夜物語の舞台・タマネギ頭のモスクが並ぶ美しい街というイメージですが、映画の中では瓦礫だらけ、ビルは壊れ、教室は粉塵や土煙舞う荒廃した街になっています。

映画はアメリカ軍兵士視点のみで描かれていますが、これが戦争というもの、武力による紛争解決が残したしこりがテロとなってるんだというのが平和ボケ日本人の私にもストレートに伝わってきました。ジェームズ2等軍曹も元から戦争中毒だったわけではなく、アフガンやイラクで任務につくうちに爆弾処理という手段が目的になってしまい、戦争に取り憑かれてしまったんでしょうね。
結果として彼は英雄なのですが、英雄になりたいとか正義をなしたいと思って仕事をしているのではなく、好きだからやっていて、その行動は時として仲間を危険に晒しているという皮肉なものです。怪我の功名のように生き残っていられるのですから結果オーライなんでしょうが、少なくとも同じ班では働きたくないです。

ラスト近くで空に舞う凧にマーク・フォースター監督の「君のためなら千回でも」を思い出しました。
あの映画ではアフガニスタンが舞台でしたね。アフガニスタンは2004年1月に新しい憲法が制定され10月に大統領選挙が行われました。
くしくもイラクの総選挙が本日2010年3月7日行われていて、選挙が無事行われれば、イラクに駐留するアメリカ軍は来年末までの完全撤退に向け戦闘部隊の撤収を本格的に始める予定です。

怪しげなDVDを売るベッカムや爆弾処理をベランダから見守る子など数多くの子供が登場しますが、彼らが大人になる頃にはイラクはどんな国になっているのでしょうか?
5000年続いたバクダッドの街が復興し、穏やかな暮らしが出来る街になっていると良いですね。

日本時間で明日3月8日のお昼にはアカデミー賞授賞式が行われます。本作はアバターと並んで最多9部門下記の賞にノミネートされています。私は女性初の監督賞を期待しています。

  • 作品賞
  • 監督賞(キャスリン・ビグロー)
  • 主演男優賞(ジェレミー・レナー)
  • 脚本賞(マーク・ボール)
  • 撮影賞(バリー・アクロイド)
  • 編集賞(ボブ・ムラウスキー、クリス・イニス )
  • 作曲賞(マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース)
  • 音響編集賞(ポール N.J.オットソン )
  • 録音賞(ポール N.J.オットソン、レイ・ベケット)




原題:The Hurt Locker
監督:キャスリン・ビグロー
製作:キャスリン・ビグロー、マーク・ボール、ニコラス・シャルティエ、グレッグ・シャピロ
脚本:マーク・ボール
撮影:バリー・アクロイド
美術:カール・ユーリウスソン
編集:ボブ・ムラウスキー、クリス・イニス
音楽:マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
上映時間:2時間11分
出演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズ、デビッド・モース、エバンジェリン・リリー、クリスチャン・カマ
公式HP http://hurtlocker.jp/ 


関連記事:
危険物処理班を描く「ハート・ロッカー」"The Hurt Locker"は全米4館で6月26日公開
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映画の感想 | Comments(14) | Trackback(5)
Comment
No title
お、ひさびさですね!
最近ツイッターで人のつぶやきを読むまでこの映画はノーマークだったんですが、lifeonmarsさんのも読んで、やっぱり観てみようと思いました。
☆がないけどいくつだったのかなあ…
この女性監督さん
変なところで、いまだに古い価値観に固執する傾向があるアメリカ社会にあって、この監督さんの作品は「女性監督らしくない」ものばかりと有名になってきているようですね。おまけに今回は戦地での爆弾処理の映画だから。

「女性監督が作ったにしては」というような目でみられないで作品のよしあしだけでメディアに取り上げられる日が早くくるといいなぁ、って思ってしまったのでした。


 話は変わりますが、金曜日にめでたく公開日初回の「アリス」を観てきましたよ。感想も日記の方に書きました。平日昼間でも高校生の姿が多く、ダンナが「学校休みじゃないよね?」と言い、私が「うん、ただ単に抜け出てきたんじゃない?」と言いました。金曜日の7時過ぎの回は早くから売り切れていたので、これは多分子供連れで満ち溢れていたに違いありません。Tim Burton/Johnny Deppの熱烈ファンのようないでたち(ゴスロリっぽい)の女性もちらほらいました。
>toto さん
あ~、サボってばかりですみませんですv-356
昨年6月からずっと待ってた公開なので公開日に行きましたが、思ったよりお客さん少なめで寂しかったです…。雨だったからでしょうか?
薬莢が落ちて土埃が舞うシーンや爆破シーンのスローモーションがいちいち格好良かったです。マイケル・ベイ辺りのハリウッドエンタメ映画の爆破が炎まみれなのに対し、この監督は煙や大地の振動で表現しリアリティあるのにスタイリッシュでした。
☆は4くらいで。
>LimeGreenさん
確かにハートブルー Point Break (1991)も男っぽい映画でしたね~。たしかにもっと女性監督も活躍して欲しいですね。

それにしても「Tim Burton/Johnny Deppの熱烈ファンのようないでたち(ゴスロリっぽい)」というのは面白いですね。日本でゴスロリっぽいのはゴシックロックのファンで、俳優ファンには少なそう(あくまで私のイメージでは)な気がします。
あと本のアリス好き層は縞のハイソックスはいてそう。
でもそんな格好した人達と一緒に映画見たら楽しそうですね!

No title
作品賞、監督賞とってしまったため今から混みそうですね。
lifeonmarsさんの記事をちゃんと読んで早めに行っとくべきだったと後悔…(笑)
>totoさん
ノミネート9部門のうち6部門受賞でしたね~。びっくりです。
全国47scrと中規模公開ですが、受賞きっかけに少しでもヒットすると良いですね!
もともと倒産したムービーアイが昨年日本配給する予定だったのが、配給が変わってこの時期に公開されたというのが逆にベストタイミングになっちゃいました。
不思議なものですね。
No title
おはようございます。

「ハート・ロッカー」の受賞は、Twitterで、しりました。
けっこう、時間が、たってから、
トム・ハンクスが、Twitterで、
「ぼくは、あせってないよ~」と、つぶやいていて、
思わず、わらってしまいました。

いくつ受賞しても、やはりほしいもの、なのですね。
祝♪監督賞他6部門受賞。
ご無沙汰いたしました。

狙った訳ではありませんが、時間の都合で昨日観て来ました。
発表前にチケットを買い夕方の上映に。
ネットで結果確認、上映時には人が多いかな?と思いきやガラガラでした。やはり重いからでしょうか。
爆弾処理シーンでは、無意識に息を止めて見入ってました。ビグロー監督の『K-19』の時もそうでしたが、この緊迫する臨場感が好きです。多分、アドレナリン出てると思います。
正に冒頭で指摘された危険な状態に、傍観者でありながら陥ってる(『ジャーヘッド』という映画でも、近い心理状態を描いていたように記憶します)。
戦争が蝕むものの恐さを喚起させる映画でした。
出来るだけ多くの方々に観て欲しいと思います。が、描写上の問題で子供は観ない方がいいのでは。
実は平和呆けに加えヘタレな私は、あの場面で本当に気分悪くなりました。
>ふぉうさぎ さん
トム・ハンクスがプレゼンターでしたね
2010年は声優としてトイ・ストーリー3が公開されますが、実写も何かでるんでしょうか?
授賞式ではベン・スティラーのアバターメイクに爆笑しましたv-290
>湛 さん
私もずっと緊張しっぱなしで見ました。おっしゃるようにアドレナリンが出てそうです。
あの場面は音も嫌~な感じのリアリティがあって、あの系統が苦手の私はちょっと固まってました。あのシーンが短かったのがせめてもの救いでした。
日本ではPG12って事は12歳以下でも保護者同伴ならOKなんですね…。
う~ん。どうなんでしょう。良い映画だけどやはり12歳以下はうなされそうだし止めてたほうが無難じゃないでしょうか。
獲りましたね!
ハート・ロッカー、オスカーを制しましたね!私はこの映画、それほどでもないなあと思ったんですけど。
>チュチュ姫 さん
リアルっぽさ、緊張感ある画面、音は良かったので監督賞、編集賞、音響編集賞、音響調整賞は納得です。
脚本は政治的な主張がなく戦争反対でも兵士賛美でもないただただ戦場と爆弾の日々を淡々と描いてるのが面白いなぁと思いました。こういう素材だとつい何か言いたくなりそうなのにそこは見る人に丸投げしちゃうのって結構難しそう。
その分観客が自分なりに解釈でき、人によって正反対の解釈してるのを読むとへ~っと感心しております。
お久しぶりです。
大変お久しぶりです。

私もこの映画を日比谷スカラ座で鑑賞しました。

平日の昼間でしたので、ご老齢・大人の方が大半でした。

lifeonmarsさんのおっしゃる通り、私も「駐留イラク米軍の爆発物処理班の日々を政治的な主張を交えず淡々と描いている点」に好感を持ちました。映画という側面では、いわゆる「戦争映画の決まりごと」からも逸脱している点は、興味深いと思いました。何より「爆発数秒前に、爆弾解体成功!危うくタイマーは残り1秒だった!」や「仲の悪い兵士達が激しい戦いを乗り越え、友情で結ばれた」という「ありがちなパターン」からも逸脱していた点は良かったですね。

さて、以前の私の投稿で、lifeonmarsさんは「ブラックホークダウンでやっとRPGを覚えた程度で、武器や戦闘機についてはさっぱり分かりません。そういうのも詳しいと、映画を見ても更に深い理解や楽しみ方ができそうですね。 また色々教えて下さい。」とご返答頂きました。

では、少しばかり(苦笑)

「トランスフォーマー」シリーズでスコープドッグや敵の親玉を攻撃していたのは、たぶんこれだと思います。

RQ-1 プレデター
http://ja.wikipedia.org/wiki/RQ-1_%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%BC

2010年現在でも、主にアフガニスタンなどで使用されているようです。
>東京の映画好きさん
見る人の解釈でどうとでも取れる演出が面白いですよね!ネットやラジオで色々な感想や意見を読むのも面白いです。

おぉ、トランスフォーマーに出てくるのはコレですか~!面白いですね。
変わったデザインなのに実在してたのか…ちょっとびっくりしました。
ありがとうございます。

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The Hurt Locker 前評判が抜群に良かったし、なんと言っても監督が、あの、あの、『ハートブルー』のキャスリン・ビグローですよ!「男のロマン...
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