--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
2009/12/27

映画「誰がため」感想

「誰がため」見てきました。
フラメン(炎)シトロン(レモン)と呼ばれた二人のレジスタンスが歴史に翻弄されていく様を壮大なスケールのロケで描き、デンマーク映画No.1ヒットというのも頷けます。「正義」や「自由」とは何なのかを考えさせられる映画でした。
flammen-og-citronen01.jpg

ストーリーは「1944年、ナチス占領下のデンマーク。レジスタンス組織の一員として、国を裏切った者たちを暗殺する任務を遂行していたフラメンとシトロンだったが、ある任務をきっかけに、組織に内通者がいることを知る。疑心暗鬼に苛まれながらも、祖国のために戦い続ける2人は……。」というものです。

正義の為に・愛する人を守るために戦っていたはずなのに実際は…という切ない役を、「天使と悪魔」「青い棘」のトゥーレ・リントハートが瑞々しく、「カジノ・ロワイヤル」「しあわせな孤独」のマッツ・ミケルセンが哀愁たっぷりに演じています。

トゥーレ・リントハートは撮影時32歳位だったはずですが、若さ故に純粋で恐れを知らないが脆い23歳の人物を好演してました。
年上女の一言で強がっていた仮面が外れ幼さが見える一瞬の演技や、瀕死の重傷を負いながら許しを乞う場面など、ファンには堪まらん場面がてんこもりです。他にもベレー帽被るとさらに若く見えてかわいいし、コートの裾ひらひらで格好いいし、年上女に手玉にとられちゃって情け無いし、食事シーンのタバコを持つ手が綺麗だしで、どのシーンとってもご飯三杯はいけますよ!!
(ちょうどバーゲンでコートを買いたかった私は、短めコートと決めていたのに、トゥーレさんの長いコート裾ひらひらに心奪われてしまい、迷いまくりです。)
flammen-og-citronen05.jpg

正義の為に戦っていたつもりだったのに、実は上層部に踊らされていた事に気づいた後のマッツ・ミケルセンの混乱ぶりも良いです。ナチスの占領下でのレジスタンスだったはずが、実は無実の人達を暗殺していたという現実。もともと家族を守りたいという気持ちから戦う事を選んだのに、その結果家族と離れてしまう皮肉。そして真実は正義じゃなくてもレジスタンスの英雄として戦意高揚に利用されてしまう偽りの栄光。その後ろ暗さを払拭する為にも闘い続ける事を選ぶ不器用な彼らが切ないです。
彼らのような自由を求めた結果参戦しているレジスタンスでも、前線で戦う兵士と同じく、結局戦略のコマに過ぎないんですね。
結局彼らを尊厳をもって扱うのは、敵であるゲシュタポのホフマンというのも皮肉です。ホフマンもデンマークでは権勢を誇ってますが、ナチス本国からすれば大きな戦略の手駒にすぎません。
またラストの後日譚も実話とはいえ感慨深いです。デンマークでは彼らの事は65年もタブー視されていたとの事ですから、単純にレジスタンスの英雄として捉えられてないんでしょうか?デンマーク人が現在彼らをどう思ってるか知りたいですね。
flammen-og-citronen03.jpg

もともと戦争というものもそれぞれの国の正義や信念のぶつかり合いですから、何が正しくて何が悪なのかを判断するのは難しいものです。
民族の自由を奪われ抵抗運動をすると聞けば正義だと思いますが、暗殺がその手段と聞くと抵抗あります。その結果、自分の家族・知人・友人が殺されたら、リンチじゃなく正式で公正な裁判をするべきだと憤るでしょう。(ナチの占領下でナチに協力している人を裁判で裁けるかは別として。)
また時の権力者と折り合いをつけるフラメンの父を責めるのは現実的ではないとも思います。
戦時下という異常な状況で、正義を計る揺るぎない価値観を持ち続けるのは大変な覚悟と、精神力が必要でしょうね。
多分私だったら流されまくりでオロオロ暮らすと思います。

関係無いですが、昨今の日本のTVドラマで、戦時中にもかかわらず一般市民が戦争反対を声高に唱えているのを見ると「あり得ない」としか思えません。
一般市民は心の底では嫌だなぁと思いつつも特高怖いし、隣組の密告恐ろしいし、何より「他国に侵略されどんな目にあわされるか分からない恐怖」に勝てるほどの「戦争が終わったあとどうなるか」という情報を持ち合わせていないんじゃないでしょうか。戦後は高度経済成長をとげ平和に暮らせると知ってるとしか思えない行動をとるTVドラマの登場人物たちに、どこからそんな情報仕入れてきたとつっこみたい気持ちで一杯です。
情報操作されていない今でさえ、国際情勢のニュースを見てても先は見えないのですから、戦時中は尚更先は見えなかったと思います。

閑話休題、今年は1989年のベルリンの壁崩壊からちょうど20年ということで、ドイツが東西に分断される原因の第二次世界大戦やナチスに関する映画が多く封切られました。「縞模様のパジャマの少年」「イングロリアス・バスターズ」「愛を読むひと」「ディファイアンス」「セントアンナの奇跡」など、どれも独自の視点で戦争を描き、彼らが必死になって求めた「平和」で「自由」な時代に生きている私たちにその時代を仮想体験させてくれます。

あの時代あの場所にいたら私たちはどう行動したでしょうか?もしこれから「戦争」が起きたらどんな行動をするのでしょうか?今年はそんな事を考えさせられる映画が多かったですね。
「戦争」は誰も幸せにしませんが、これからも地上から無くならないでしょう。願わくば今の「平和」ができるだけ永く続く事を祈ります。

この映画は、デンマークの歴史やナチス侵攻の地理をよく把握してないと分かりにくい部分も多いです。私は当時のスウェーデンの立場が今一歩分からず混乱しました。公式HPでデンマークの歴史と実際のフラメンとシトロンの最後も読めるので鑑賞後に是非ご一読下さい。

史実を元にしているため、中盤展開がもたつくのが映画的にはちょっと残念でした。
あとトゥーレさんが韓流ドラマの登場人物のようにずっとコートのポケットに手を入れているのは、銃を持ってるからでしょうか?それとも背伸びして大人ぶってる若者の表現なんでしょうか?まぁ格好いい人がやってるから様にはなってますが…。

公式HPでキャスト紹介が見つからなかったのですが、フラメンの父役は「カジノ・ロワイヤル」「007/慰めの報酬」にMr.ホワイト役で出演していたイェスパー・クリステンセンですね。デンマークのスターが総出演って感じですね。

トゥーレ・リントハート、マッツ・ミケルセンのファンの他、正義について考えたい人、紫煙の美しい映画を見たい人にもお勧めです。


原題:Flammen og Citronen
監督:オーレ・クリスチャン・マッセン
脚本:ラース・K・アナセン 、 オーレ・クリスチャン・マセン
撮影:ヨルゲン・ヨハンソン
音楽:カルステン・フンダル
上映時間:2時間16分
出演:トゥーレ・リントハート、マッツ・ミケルセン、クリスチャン・ベルケル、ハンス・ツィッシュラー 、ピーター・ミュウギン、スティーネ・スティーンゲーゼ、ミレ・ホフマイーヤ・リーフェルト
公式サイト: http://www.alcine-terran.com/tagatame/ 日本のサイト
公式サイト: http://www.flammenogcitronen.dk/ デンマークのサイト。激重ですが壁紙などあり。


にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

関連記事:
トゥーレ・リンハーツ主演「誰がため」(原題"Flame & Citron")予告編
映画「天使と悪魔」感想
ココ・シャネルの伝記映画「Coco avant Chanel」の予告
映画「愛を読むひと」感想
映画「ディファイアンス」感想
映画「セントアンナの奇跡」感想
映画「縞模様のパジャマの少年」感想
映画「イングロリアス・バスターズ」感想
映画の感想 | Comments(0) | Trackback(1)
Comment

管理者のみに表示
Trackback
管理人の承認後に表示されます

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。