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2009/11/04

ヴィゴ・モーテンセン主演映画の原作「ザ・ロード」感想

ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化される「ザ・ロード」読みました。
心理描写がなく読点もなく淡々と終末世界を旅する父子を描いた作品で、とてもアメリカらしい話でした。でも日本人には宗教や文化の違いから理解しづらい本だと思います。というか、私にはさっぱりこの本の主張が分かりませんでした。

ザ・ロードザ・ロード
(2008/06/17)
コーマック・マッカーシー

人類の大半が死に絶え、生き延びた人間たちもわずかな食糧を求めて非道を繰り返す終末世界で、寒さを逃れて南へと宛のない旅を続ける一組の父子を主人公に、飢えや他の生存者の襲撃から愛する我が子の命と人間性をただひたすらに守り通そうとする父親の絶望的な運命への抗いを、冷徹な描写で描ききった衝撃のサバイバル・ロード・ノベル。



核戦争後の荒廃した世界では生き残ることこそが目的となります。そんななかで人間性を失わず「善」であろうとする父親は激しく「悪」と対立します。

でもこの対立する「悪」ってそんなに「悪」なんでしょうか?
「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。」と親鸞さんは言ってますが、この「悪人」とは悪行を働く犯罪者ではありません。
普段私たちは自分が正しいと思う事を主張しますが、相手もまた相手が正しいと思うことを主張しているだけです。善と善がぶつかり喧嘩になり戦争をおこしているのです。そんなつもりじゃなくても、存在自体が相手に不快な思いをさせているかもしれません。
また私たちは毎日他の生命を食べることで生きています。
そう考えると自らを一辺の曇りなく善であると言い切れる「善人」はいないのではないでしょうか。

一方、自らの正義を疑わず「世界の警察」であるアメリカで「善」であることにこだわった父親が「善」そのものの無垢な息子と旅を続け、自分とは違う主張をしている「悪」と戦います。
世界が崩壊し他の人は違う価値観で生きているだけなのに、そこにのこのこ出ていって自分の正義を押しつける父親は実にアメリカらしいです。

また、心理描写もなく会話が淡々と綴られるため子供にリアリティがなく、理想の父親像を書くために作り上げた理想の息子という感じがします。
多分この無垢な息子に神の子=キリストを重ね合わせんでしょうが、こういう理想的な子供描写って嘘くさくてたまりません。
こんな核戦争後の荒んだ世界を旅するのですから、注意するにこしたことはないのに、この息子はアホちゃうのかと突っ込むくらい無垢です。まるで小公子のセドリックのような理想的な子供っぷりに違和感ありすぎでした。
そのせいで酷い目にあう父親は自業自得、これは無垢じゃなくて無知ですよね?しかも最後はそんなオチかい…とますますモヤモヤしてしまいました。

また、本には読むべき時期があるのですが、私はちょっと外してしまった感じです。

グルメ絶賛のフランス料理だって、胃腸が弱って苦しい時は食べられないし、飢餓状態なら不味いと評判の社食だってご馳走です。とても美味しいラーメン食べた直後にいつもは美味しいと思うラーメン食べても物足らなく感じてしまうものです。
私にとってこの「ザ・ロード」はちょうどそんな本で、面白い良い本だと思うけれど、核戦争後の世界はマンガで散々読んだりアニメで見慣れたものだし、クールで個性的な文体はノリが合わず読みにくかったです。

多分2~3歳までの息子をもつ父親が読んだら、あぁ自分もこういう理想的な父子になりたいと思えるのかもしれません。クールな文体もいかにも男性が好みそうです。
またSF好きにはありふれたプロットでも、善と悪の戦いを描いた文芸書と思えば新鮮かもしれません。なにせアメリカではピュリッツァー賞も受賞し、巨匠の代表作と評価も高いのですから。
終末世界を描いたSFを読む前の10代の時期に、あるいはイラン戦争にアメリカが出しゃばる以前にこれを読んだらそれなりに感動しそうな本だと思いました。

おすすめ度:★★★☆☆
ハードカバー: 270ページ
出版社: 早川書房 (2008/6/17)
言語 日本語, 日本語, 日本語
ISBN-10: 4152089261
ISBN-13: 978-4152089267
商品の寸法: 19 x 12.8 x 2.6 cm



映画は監督はジョン・ヒルコート、主演ヴィゴ・モーテンセン、コディ・スミット=マクフィー、シャーリーズ・セロン、ガイ・ピアース、ロバート・デュヴァルが出演します。
灰色がかった終末世界の描写、ヴィゴの父性愛などがどんなふうに描かれるか楽しみです。

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