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2009/10/11

映画「私の中のあなた」感想

「私の中のあなた」見てきました。お涙頂戴の難病物ではなく家族愛の映画となっていて、家族が重い病気にかかったら自分ならどうするだろう、社会的な倫理に反してもドナーとなる妹を産むだろうか、また自分が患者だったら家族にどうして欲しいと望むだろうかと様々な事を考えさせられました。
My Sister's Keeper


ストーリーは「白血病の姉・ケイトを救うために、ドナーとして作られて産まれた11歳の妹アナは、ある日突然、「自分の体のことは自分で決める」と臓器提供を強いる両親を相手に訴訟を起こすが、その裏にはある思いが隠されていた……。」というものです。

私は先に原作を読んでいたので、ある意味ネタバレ状態で見ましたが、この家族それぞれに感情移入して涙がこぼれてしまいました。また原作の納得いかないラストを改変し、非常にしっくりくるストーリーになっています。
My Sister's Keeper


原作小説の元ネタはアニッサ事件「慢性骨髄性白血病と診断された16歳の少女アニッサのため、42歳の母親が妹を産み、妹から骨髄移植が行われて姉の命を救った」という実際のケースです。これは日本でも2000年4月にNHKスペシャル「世紀を越えて いのち・生老病死の未来 第1集 人体改造時代の衝撃」(後に『人体改造―あくなき人類の欲望 』という本にまとめられています)で放送されたので、知ってる人も多いと思います。このアニッサ事件で母は25%の確率にかけ妊娠しましたが、この物語では適合する受精卵を選別し妹アナを産みます。

もうここから倫理的にどうなんだろう、生まれてくる子の人権やアイデンティティはどうなるんだ、その子に対する愛は病気の姉に対する愛の二の次ではないかなど疑問が渦巻きます。

でももし自分の子が白血病で余命幾ばくもなく、骨髄移植のドナーとして兄弟姉妹が適している、しかも受精卵で選別可能だとオフレコで囁かれたら、私も子供を産むかもしれません。だって目の前で我が子が死にかけているんですから…。

この難しい母親役をキャメロン・ディアスが体当たりで演じていて、母の我が子を助けたい必死さが良く出ていました。

娘ケイトが発病したため、この家族は皆大きな犠牲を払っています。母は弁護士の仕事を辞め、父は愛する妻の関心を、長男は両親の関心をケイトにとられています。妹アナは両親の愛の結晶ではなく、姉ケイトの臓器スペアとして産まれ、辛い手術や入院に堪えています。
ケイトという神に仕えるしもべのように家族それぞれが大事なものを捧げる状態は、ケイトにとってもどんな年月だったのでしょう?子供時代は単純に病気を治し、普通の女の子のように生活したいだけだったと思います。でも恋をして、別れを経験し、再発した自分に家族がさらなる犠牲を払おうとしているのを知った時の彼女の決意は映画の最後で明かされます。ケイトがアルバムを見ながら回想するシーンは、家族がケイトと共に病と闘った十数年の歴史と家族の想いが良く出ていてもう涙がとまりませんでした。この小物のアルバムがとっても楽しげで可愛いレイアウトで、辛い闘病とのギャップが胸に迫ります。

姉ケイトを演じるソフィア・ヴァジリーヴァは鼻血を出しながら再発に怯える泣き顔、副作用で吐きながらも彼に寄り添う姿など凄い熱演で、闘病の辛さが伝わってきます。
キャストはアビゲイル・ブレスリン、ジェイソン・パトリックなど皆本当に良い演技をしています。特に女性判事のジョーン・キューザックが、我が子を亡くした悲しみがしっかり伝わってきて素晴らしかったです。
My Sister's Keeper

アナがおこした裁判の中で、意外な動機が明らかになり物語は大団円を迎えます。
本来ケイトが生きる為に病と闘ってきた母に、病と闘うのだけが目的になって家族が生きている事が疎かになってる事を気づかせる脚本は見事でした。

ただ原作の特徴である、次々と家族それぞれの視点で語る物語構成を1時間50分の映画に詰め込んだため、父や兄のシーンは駆け足になり物語が散漫になった印象です。また時系列があちこち飛ぶため母が髪を切ったのがいつの時点なのか分かりにくかったのと、ミュージックビデオ風に音楽が流れる演出がしつこく何度もあったのが気になりました。

でも医学の発達と倫理観の問題や、病人を抱える家族の問題、そして死について考えさせられる作品でした。臓器移植を自分や家族の問題として考えるきっかけになったら良いと思います。


原題:My Sister's Keeper
監督:ニック・カサベテス
原作:ジョディ・ピコー「私の中のあなた 上巻(ハヤカワ文庫NV)/下巻
脚本:ジェレミー・レベン、ニック・カサベテス
撮影:キャレブ・デシャネル
美術:ジョン・ハットマン
編集:アラン・ハイム、ジム・フリン
音楽:アーロン・ジグマン
上映時間:1時間50分
出演:キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールドウィン、ジェイソン・パトリック、ソフィア・バジリーバ、トーマス・デッカー、ヘザー・ウォールクィスト、ジョーン・キューザック、エバン・エリングソン、デビッド・ソーントン

関連記事:
「わたしのなかのあなた」My Sister's Keeper原作感想
キャメロン・ディアス主演”My Sister's Keeper”の動画
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以下ネタバレ(文字色・白なので反転して下さい。)

原作では勝訴したアナが交通事故にあい、その臓器がケイトに移植され、ケイトは生き延びます。
それで本の邦題が「わたしのなかのあなた」、ケイトの中で生きるアナの臓器を意味しています。
結局アナはスペアとして産まれスペアとして死ぬ。いったいアナの人生は何だったんだろうと読んで猛烈に腹が立ちました。ただの臓器培養装置だったアナが哀れでなりませんでした。
なにより、原作のケイトは生き延びることを諦めただけって感じでした。

映画のケイトは確かに延命措置を止めます。でもそれは今を生きる、家族が生きる事を選んだからです。だから家族と海に行き、今夜は母と一緒にいようとします。アナの体にこれ以上メスを入れる手術を避け元気に生きて欲しいと願うのです。
こんなふうに死を受け入れるのは家族にとっても辛い選択だと思います。特に十数年もケイトの病と闘ってきた母にとっては今までの努力が無駄になる事を意味しますが、ケイトは自分の気持ちを母に話してから逝きます。

ここを原作と変えたお陰で人の死をどう受け入れるかという一層深いストーリーになっています。
映画では「私の中のあなた」は臓器ではなく、アナや家族の心にあるケイトの思い出、ケイトの想いになっています。こっちの方がずっと素敵な「あなた」だと思いました。
映画の感想 | Comments(6) | Trackback(7)
Comment
No title
いつも温かいコメント、ありがとうございます。
この映画、まだ見ていないけど、キャメロンのロマコメ女王にとどまらない演技力が良さそうで、チェックしてました。
泣いちゃいそうなので、とか言いながら、いつもDVD発売を待っているのですが^_^;
>サイズ君 さん
いえいえ、こちらこそいつもコメントありがとうございます

キャメロン・ディアスが薄化粧で、フツーのお母さんを演じてるのが新鮮でした。アビゲイルちゃんも文句なしで演技上手いので物語に引き込まれて見ました。

DVD発売は春くらいでしょうか?それまでしばしお待ち下さいませ。
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Re: はじめまして
応援コメントありがとうございます。

読んで頂けるだけでも有り難いのに、このような温かなコメント頂きとても励みになります。
最近は少し忙しくて書いてる途中でつい寝ちゃったりして、更新時間がマチマチになってます。自分でも情け無いですが、なるだけ毎日更新していきたいと思ってます。
拙いblogですがまたお時間があったらお寄り下さい。
今日みました
いや~この映画は自分ではあまりない、
「合格点」
でした♪
見る人を良い意味で裏切ってくれる、
本当に良い映画でした。
何度も涙が止まりませんでしたし、
ストーリーもいくつも伏線が張っており、
でも無理がない(たしかに時間軸はちょっと
難しい点もありましたが…)
展開だったと思います。
原作はそんな感じだったんですね、
映画では変えてくれていて、本当に良かったです☆
>kishさん
原作の良いところや問題提起をきちんと映画化していて、良い作品でした。

原作と違うラストについては、最後まで酷い運命を負わせる原作には人間の身勝手な論理で生命を生みだし利用する事への強烈な皮肉があったという意見を読んで、「そういう見方もありだな~」と思うようになりました。

でもやっぱり2時間弱の映画ではラスト変えて良かったと思います。

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