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2009/08/04

映画「セントアンナの奇跡」感想

スパイク・リー監督の「セントアンナの奇跡」見て来ました。
スパイク・リーと言えば人種問題や社会的・政治的な問題を取り上げ物議を醸す監督なのですが、今作はその切れ味が鈍いです。
言いたい事は分かるけど、テンポが悪く、散漫なシーンも多くて中だるみします。それなりに感動的なストーリーですが、もう少し脚本練って枝葉を刈りこんだら傑作になったろうにと、とても残念に思いました。

Miracle at St. Anna


ストーリーは「1983年のニューヨーク。ある日、真面目な郵便局員が突然、客としてやってきたある男を射殺した。その郵便局員は、第2次大戦時、黒人部隊“バッファロー・ソルジャー”の一員としてイタリアの戦線に送り込まれていたが、そこで出会ったひとりの少年との交流が、全ての謎を解く鍵だった……。」というものです。

Miracle at St. Anna (Movie Tie-in)Miracle at St. Anna (Movie Tie-in)
(2008/09/02)
James McBride
原作は、第二次世界大戦中トスカーナ・スタッツェーマ市で起きたナチスドイツ軍によるイタリア人の大虐殺と、黒人だけで組織されたアメリカ軍第92部隊「バッファロー・ソルジャー」の史実を元にした小説「Miracle at St. Anna」で、作者のジェイムズ・マクブライドが本作の脚本も担当しています。


この原作者が脚本を担当したのが裏目に出て、原作の良いところを全て映画に盛り込んだのではないでしょうか?

たとえば、ある画商が情事のあと新聞を読もうとするシーンがあります。そのあと起こるのは奇跡です。多分文章で読んだらとても素敵な一章だと思います。
だけど映画に必要だったかというと全然いらない、不必要なシーンでした。

連合軍向けに行われたプロパガンダ放送で兵士のやる気を低下させる“アクシス・サリー(枢軸サリー)”の独演会も、とても興味深いシーンです。
黒人が祖国のために命がけで戦おうとしているが、その祖国は彼らに何をしてくれるかを訴え、黒人差別の酷い祖国の現状を兵士達に思い起こさせます。でも、必要以上に長いです。

監督は黒人兵士達がアメリカのために戦ってもかき氷一杯売ってもらえない程の差別を受けているのに、枢軸国側のイタリアでは差別なく受け入れられるという差別問題を描きたいようですが、脚本家は奇跡の部分を描きたいように思えました。全体に脚本家と監督の語りたいことが違っているため、あれもこれも盛り込み散漫になった印象です。

アメリカ兵も善人ばかりではなく、ナチスにもただの悪人じゃない人もいるし、イタリアのパルチザンもまたしかりと言う具合に、国や所属で単純に善悪の二極に分かれてはいません。
四人の兵士も仲間割れしたり一枚岩ではありません。
戦時中のそういう複雑な人間模様・ドラマを描きたいのなら、黒人差別の問題にばかり時間をかけずもっとスピーディな展開にして欲しいです。
最後の戦闘後、幻の兄が語るシーンや、浜辺で白スーツの黒人青年が語るシーンなど蛇足も多かったです。

ドイツ語、イタリア語、英語で祈りが捧げられる、国や言葉は違っても同じ神に祈っているという緊張感あふれる素晴らしいシーンがありますが、こんなふうにぎゅっと凝縮したトーンで全体を編集してあったらなぁと思いました。

また、前半は四人の黒人兵士達の内二人の見分けがつかなくて混乱しました。アジア人の顔が見分けがつかないとよく言われますが、その気持ちが初めて分かりました。(心の中でデブ、金歯、通信士、色黒)と呼んでました。こんな感じ↓)
Miracle at St. Anna

そうそう、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットは冒頭で起こる郵便局員の射殺事件を追う新聞記者の役でした。なぜこんな犯行が行われたかという疑問を持つ記者の視点は、映画を見てる観客の代弁者ですね。彼が出ていると注意して見てないと分からず、やっぱり影が薄いですね。ジョン・タトゥーロの刑事役も一瞬でした。

映画自体は面白かったけれど、もう一回見たいかと言われると、もう見なくていいです。あと30分短くして凝縮したら傑作になったと思います。見る前に公式HPで時代背景や歴史を読んでから見た方が分かりやすいでしょう。

長い映画が好きな人にお勧めしたいです。


セントアンナの奇跡
原題:Miracle at St. Anna
監督:スパイク・リー
原作・脚本:ジェームズ・マクブライド
出演者:デレク・ルーク 、マイケル・イーリー 、ラズ・アロンソ
上映時間: 163分
公式HP:http://www.stanna-kiseki.jp/

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映画の感想 | Comments(5) | Trackback(1)
Comment
寝ちゃうかも?
こんにちは。
観る予定にしていた『セントアンナの奇跡』でしたが、

>テンポが悪く散漫なシーンも多くて中だるみ
・・・な163分なんですね?う~ん・・・躊躇します。

編集が良くない長編は、かなり贔屓の俳優が出ずっぱりで、
その人を見てれば満足♪という状況でなければ寝ます(きっぱり!)。
でも内容紹介で興味を覚えたので、観たい気持ちも強いですね。
若し観る機会があれば「デブ、金歯、通信士、色黒」を参考にいたします。(^▽^)
>湛 さん
見る前に世界史とアメリカの黒人差別問題の知識があった方が良いでしょう。また「デブ、金歯、通信士、色黒」は絶対覚えていた方が良いです。通信士は楊子でも良いです。

あと音楽がどんなのが使われてたか全く記憶に残らずでした。その辺もなんだか物足りない原因かな~?
テーマや題材は面白いのに、スパイク・リーにしては凡打って感じ。
戦争ものだから男性はこの映画好きそうなんですけどね~。
No title
今作はその切れ味が鈍いです。

それなりに感動的なストーリーですが、もう少し脚本練って枝葉を刈りこんだら傑作になったろうにと、とても残念に思いました。

映画に必要だったかというと全然いらない、不必要なシーンでした。

蛇足も多かったです。

前半は四人の黒人兵士達の内二人の見分けがつかなくて混乱しました。アジア人の顔が見分けがつかないとよく言われますが、その気持ちが初めて分かりました。(心の中でデブ、金歯、通信士、色黒)と呼んでました)


なるほど、素人からこんな酷評受けるほど酷い映画って事ですね。
あ、失礼もしかして世界1の脚本家か映画監督ですか?
それとも只の ひねくれ者 ですか?
>映画を単純に楽しむ者 さん
いらっしゃいませ、こんにちは

>世界1の脚本家か映画監督ですか? それとも只の ひねくれ者 ですか?
そうですね~、ただの素人ですから、その三つしか分類がないなら「ひねくれ者」かもしれませんね。

どちらかというと、期待してお金を払って見たのに期待はずれだと怒ってる「けちんぼ」だと思います。

映画を単純に楽しむ者さんが、私の感想を読んでお怒りになってるように、私もこの映画を見て、ちょっと期待ハズレだった怒りがあるのです。

たとえるなら以前行ってとても美味しい料理を出されたレストランで、イマイチな料理を供されたような気持ちです。

素材が悪い?加熱が長すぎ?塩が多すぎ?切り方が不揃い?盛りつけが悪い?
美味しい時は「旨い、旨い」ばかりでそんな事ちっとも思わないのに、不味いと色々思いつつ食べるでしょう。しかも料金前払いですから、支払い時点で文句も言えません。
またコンビニやファミレスだったら期待もしてないのですが、以前とても美味しいものを出す店だったのでがっかり度も大きいのです。

お金・時間・それから監督に対する期待感、そういったものが対価として支払われて鑑賞しているのに、今回は残念ながら満足できませんでした。

だからといって、全くの駄作じゃないのです。扱ってる素材は面白いし、祈りのシーンのような素晴らしい演出もあり、それなりの出来です。
これが、スパイク・リーじゃなかったら、「まぁ良いんじゃないでしょうか。普通の出来だ。」と言ってたかもしれません。
でもスパイク・リー監督作なのです。文句の一つも言いたくなるじゃありませんか。
「普通の出来だけど、もっと美味しく出来たはず。だってスパイク・リーだもん」

どんな駄作映画にも良い点があり、そんな駄作に比べたら本作は大傑作だと言えるかもしれません。作品の良い点だけを見つけるのは淀川長治さんみたいな立派な評論家なら出来る事だと思います。ところが、悲しいかな私は素人なので「作品の良い点だけ」を素直に見るのが難しいのです。どうしてもとっても美味しい料理以外は、普通だな~とか、不味いな~と思ってしまいます。

「映画を単純に楽しむ」というとても大人な鑑賞姿勢を、私も見習いたいです。

あと、私のはただの「感想」なので、単に自分が好きか嫌いか、口に合う合わないかを書いています。
作品自体の評論は、評論サイト、または評論ブログでお読みになると良いかもしれませんよ。
No title
どう考えても「ひねくれ者」は「映画を単純に楽しむ者」さんですねw
駄作を批判することも認めないようです おーこわ

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