--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
2009/06/08

映画「愛を読むひと」感想

「愛を読むひと」見てきました。
恋愛とは?戦争責任とは?正義とは?など見終わって色々考えさせられるとっても良い映画でした。
reader

ストーリーは「1958年のドイツ、15歳のマイケルは、年上のハンナと激しい恋におちた。ハンナはマイケルに本の朗読を頼み、いつしかそれが二人の愛の儀式となる。しかし突然、ハンナは姿を消してしまう。8年後、法学生のマイケルは傍聴した裁判で、戦時中の罪を問われるハンナを見つける……。」というものです。

第81回アカデミー賞でケイト・ウィンスレットが主演女優賞を受賞したことでも話題の作品です。
さすがにオスカーとるだけの体当たり演技でハンナ役ケイト・ウィンスレットが素晴らしかったです。
15歳・23歳のマイケル役デビッド・クロスが瑞々しい演技で、肉体的な愛を知って有頂天になったり、相手の心が分からず不安になったり、恋が去った悲しみ、再会後ハンナの忌まわしい過去に苦しみ、法律と感情の間の苦悩などを見せてくれて、日本人の私にも非常に共感できる物語にしてくれました。
17歳で撮影(ラブシーンは18歳になってから)したそうですが、フレッシュでありながらリアルでとっても良かったです。
ハンナとの恋と苦悩が人間形成に大きな陰を落としてしまい、人と密接な関係を築けない大人となったマイケルをレイフ・ファインズが好演してました。
この人は「ある公爵夫人の生涯」でもたった1シーンで、単なる浮気男じゃない公爵を見せてましたね~。

物語は大きく3つのパートに分かれ
1958年出会い恋に落ちるがハンナが姿を消す
1966年裁判所でハンナを見つける
1995年に「1976年からテープを送りはじめ1985年の別離」をマイケルが振り返っている
となっています。
reader

二人が出会う1958年12月、マイケルは15歳、ハンナは36歳。
年の差とこの恋愛がマイケルに与えた影響を考えるとちょっと犯罪だよなぁと思いますが、二人は激しい恋に落ちてしまいます。
この時のデビッド・クロスの演技が素晴らしいです。口づけを知り、大人の唇を気にする演出や、喧嘩して涙ぐみながら愛を確認するシーンなどとっても初々しくて良かったです。
またケイトの体の線がちょっと緩んでいて、36歳らしいリアルさが出ていました。

ハンナが生まれた1922年頃、第一次世界大戦敗戦の多額の賠償金(1320億金マルク、当時のドイツGNP20年分)支払いに苦しむドイツ政局は不安定で驚異的なインフレに苦しんでいる時代です。
ハンナが11歳になった1933年アドルフ・ヒトラーの国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)が選挙で政権を握り軍事力の増強や周辺諸国の併合などを行うようになります。

1943年ハンナは21歳でSSに就職し看守になります。そして1945年終戦を迎えるのです。彼女が生まれ育ったのは戦争の時代です。
逆に1943年生まれのマイケルは戦後民主主義の中育ち、ナチスドイツの軍人だけじゃなく一般市民もユダヤ人虐殺に関わっていたことを青年期に知る事になる世代です。

私たちはナチスが悪い、ヒットラーが諸悪の根源だと思っているけれど、その時代に生きた一般市民で今自分の周りにいる知人・肉親・隣人も過去の戦争犯罪に関わっていたかもしれないのです。
それをどう裁くか、どう受け入れるかマイケルは苦悩します。

公判中ハンナが裁判官に聞く問いは、私たちに投げかけられています。
またゼミの教授のセリフも法律と正義について深く考えさせられる言葉です。

reader

さて1966年の裁判でハンナはある秘密を守るため不利な証拠を認めます。
なぜその秘密を守りたいか?それはハンナはプライドの他に何も無かったからですね。
家族も子供も打ち込める仕事もなく、元囚人からも知的と思われていたというプライドしか守りたいものがないのです。
1958年を思い返すと彼女がどんなに苦労してその秘密を守っていたを知り、本当に切ないです。
真実を知って苦しむマイケル。このデビッド・クロスの手が彼のおぼつかない寄る辺ない気持ちを表してて良いですね。この人は泣く演技が本当に上手いです。
reader

1976年離婚を経て33歳になったマイケルは本を朗読しテープ送りはじめ、ハンナもある事を始めます。
ここでマイケルがハンナに聞く「過去から何を学んだ?」という問いは、どんな答えを聞きたかったんでしょうか?戦争犯罪に対する謝罪?ここは世代間のギャップ、時代によって変わる正義を言いたいんでしょうか?ちょっと分かりにくいです。
また彼女のその後の行動も理由が分かりませんでした。(この時のケイトの老けメイクは瞳や頬が若々しいので少し残念ですね。)

でも翌日のレイフ・ファインズの悲しむ演技が素晴らしい。胸が締め付けられて涙があふれてしまいました。

そして1995年マイケルは元囚人女性に会い物語は終わります。
キャストも脚本も良く丁寧に作られた、しみじみと心にしみる映画でした。

私は原作が出た当時読んでたんですが、すっかり忘れてたのでこんな話だったっけ~と思いながら見ました。
彼女の決断、彼の苦悩などの細かい心理を、もう一度原作を読んで知りたくなりました。



原題:The Reader
監督:スティーブン・ダルドリー(「めぐりあう時間たち」)
製作:アンソニー・ミンゲラ、シドニー・ポラック
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン
原作:ベルンハルト・シュリンク 朗読者 (新潮文庫) 単行本もあります
脚本:デビッド・ヘア
撮影:クリス・メンゲス、ロジャー・ディーキンス
美術:ブリジット・ブロシュ
編集:クレア・シンプソン
音楽:ニコ・ムーリー
出演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デビッド・クロス、レナ・オリン、ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ララ、カロリーネ・ヘルフルト
上映時間:124分
公式サイト:http://www.aiyomu.com/
2009年6月19日公開

朗読者 (新潮文庫)朗読者 (新潮文庫)
(2003/05)
ベルンハルト シュリンク


関連記事:
映画の感想カテゴリの他の記事
映画「ある公爵夫人の生涯」感想
年上女性との恋愛映画「僕の美しい人だから」とハンバーガーショップ
血の伯爵夫人「The Countess」の予告篇は年上女の切なさ一杯

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村
映画の感想 | Comments(23) | Trackback(2)
Comment
アカデミーとると
天邪鬼な私はどうも敬遠してしまう傾向があるのですが、lifeonmarsさんの解説を読んでいたら、観たくなってきました、Readers。

ポチ

火曜日には「グラン・トリノ」DVD発売です。レンタルに予約してありますので、ちゃんと発売と同時に観ることになると思います。
No title
こんにちは。
原作はわたしも出た当時読んだのですが、
今で言うとハンナは学習障害ということになるのかなあと
思いながら読んだ覚えがあります。
切ない物語で映画もぜひ見てみたいです。
あの時代の映画ってなんだか惹かれます。
映画になったんだ
知りませんでした。
映画になったんですね、あの本が……というくらい、好きな作品だったので、ちょっとビックリしてます。なにしろ、最近、映画館に足を運ぶ機会が、というより街へ出る機会がなくなってしまったので、見落としておりました。
教えていただいてありがとうございます。
>LimeGreen さん
天の邪鬼になって敬遠してしまう心理も良くわかります(笑)
私もたまにやってしまいます。
The ReaderはアメリカではすでにDVDになってますので、万一気が向かれたらどうぞ~

「グラン・トリノ」はとっても良かったので是非感想教えて下さい~!
>penpen さん
あぁ~、そうかもしれないですね。
そういう理由だとしたら本当に切ないです。
昔、本を読んだときは、色々わからなかった事があったのですが、再読したらあの当時とは違う感想を持ちそうです。
>哲雄 さん
日本公開は2009年6月19日(金曜)です。
原作ファンにも好評なようです。
ただドイツで撮影してるのに全編英語なので、そこは違和感があるかもしれません・・・。
試写会の感想
試写会に行きましたが、とっても不可解でモヤッとして、疑問ばかりが残りました。後味悪い~!タイトルバックの音楽も恐くて、途中で退席したほどです。隣の人も「最悪~」と言っていました。どうして、人によってこんなに感想が違うのでしょう?ケイトがタイタニックの時から、こんなに老けてしまったのもショックでした。
>はてなさん
そうですよね~。
人によって色々感想が違うから私もこうしてブログ書いているんだと思います。
みんな同じだったら「そうだよね」で終わっちゃいますが、違う意見もあって「そういう見方もあったか」とか「いや、それはないだろう」とか話せるのがネットの良いところですよね。

ケイトは「タイタニック」では脂乗りすぎでちょっと苦手だったし、「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」ではヒステリックな奥さんで共感できませんでしたが、本作ではちょうど良い具合に老けててハンナにぴったりだと思いました。
10年たってますので多少老けても仕方ないですし、綺麗すぎたら変な役かもしれませんよ。
「ホリデイ」のケイトは綺麗だしコメディ作品なので、はてなさんも気にいるかもしれません。どうでしょうか?
レイフ・ファインズ
この映画、観てみたいと思っている作品です♪

レイフ・ファインズの出演作品、すべて観たわけではありませんし、ファンて事でもないのですが、この方、何を演じても不思議に気になるというか、目を引かれてしまいます。
>栄子 さん
あ~、良くわかります!
私も全然ファンじゃないのに、作品見るとレイフ・ファインズに目を奪われます。
演技が上手いんでしょうね~。
観てきました
周りの人と涙する場面が違うって焦りますよね。でも涙は止まらなくて。
旅行に出かけた翌朝、手紙で喧嘩のシーンを映画に盛り込んでほしかったです。
久々に揺さぶられました。
>あさ さん
原作にあった「マイケルがメモを残してちょっと留守にするシーン」ですね。あそこも無かったですね。
あと、公式サイトに写真が使われているマイケルとハンナの父の書斎でのシーンも、映画では無かったですね。
映画なので時間的制約があるのである程度カットは仕方ないですが、原作読んでいると入れて欲しかったシーンが色々あります。
本当に色々考えさせられる良い映画でした。
教えてください
この映画がよくわかりません。教えてください。
裁判ではみんな冤罪だって知ってるのに、終盤では本を読んだ人は彼女が重ーい罪を犯したと思い込んでしまっている。
生き残った娘も、責任者の顔は覚えていなくて、本を読ませる変な人は覚えているのだから、その変な人が責任者でないことを知っているはずなのに・・・。
「彼女を許すようでお金は受け取れません」といいました。
そんなに怒りが強いのなら、なぜ裁判のときに他の被告人を許したのでしょう?
主人公も面会のときに「たっぷり反省したか?」というような意味の問いかけをしていますが、冤罪のひとには普通は「大変だったね、お疲れ様」ではないでしょうか?
なんだか変な物語です。
Re: 教えてください
こんばんは、私の解釈で申し上げます。

犯罪はその事件が起きた時の法律で裁かれます。またそれには証拠がいります。看守全員で犯した罪ですが、責任者はハンナとする証拠があり、それを認めたハンナだけが罪が重くなっても仕方ないのです。ゼミの学生が教室で怒りをぶつけたように、罪を犯した全員が平等に裁かれるのが理想=正義ですが、実際はユダヤ人の生き残りがたまたま本を書いたため裁判にかけられ、たまたまハンナが責任者という書類があったため、彼女だけが重い罪になりました。これが裁判の現実です。ユダヤ人女性は全員を告発していましたが、裁判では証拠を元に裁かれたし、その証拠がハンナを責任者と言っているのですから、それ以上の追求は無理だったと思います。

ではなぜマイケルは冤罪と知っているのに、冷たい態度だったか?これは難しいですね。私が思うに愛する人故にその罪が許せなかったのではないでしょうか?
戦時中とはいえ200人もの人を見殺しにし、反省の言葉もないハンナ。平和な時代に育ったマイケルには理解できない部分もあったと思います。
しかも本来なら法学生=法を守るべき立場なのに、それをまげて彼女の意志をつらぬく共犯者となった自分を嫌悪する気持ちもあったと思います。人嫌いの彼にすれば、出所すれば自分が面倒見なければならないのも鬱陶しい気持ちもあり、邪険な態度になったのかもしれません。

長々と書きましたが、作品内で明確に描かれていない部分は、見た人がそれぞれ自分なりに解釈していいと思います。逆に、どうぞ皆さん考えて下さいと制作者が見る人に投げかけている作品だと思います。(えらく長くなってすみませんでした。)
遅ればせながら...
ロードショウ終了ギリギリに観に行きました。
いろいろな見方が出来て、
各々が宿題のように、
自分の心の中に持ち帰る事が出来る、
映画の醍醐味ですよね。

トラックバックさせて頂いても良いですか?
アッ。。。
この前も同じことをお聞きしました。
Linkフリーとのお返事頂いたので、
トラックバックさせていただきます!
>piccolo さん
>各々が宿題のように、自分の心の中に持ち帰る

本当に、色々な見方ができる映画でした。自分だったらどうするだろう?この行動は果たして正義なんだろうか?いくつも疑問が沸き、たっぷり考えさせられました。

トラックバックはご自由にしていただいてかまいません。ご丁寧にお尋ね頂き、ありがとうございます。
DVDを観ての感想
ようやくDVDを観る事が出来ました。
看取した側と、時代が変わって収監される側になった対比に、思いをめぐらします。ハンナは、自ら収監されることを望んだんでしょうね。それも、収監者をアウシュビッツに送り込んだら二度と自由になれないことと同様に、自らの刑期を終えた後の自由な生活は初めから考えてなかったんでしょうね。
法は、行為者の行為時の法律を適用し裁くものです。しかし、ナチスの犯罪を裁こうとしたら、ナチスの法を適用しなければならなくなってしまい、無罪となるのが法の原則です。「あなたならどうしましたか」こう証言するハンナの言葉は、ナチス犯罪の難しさをあらわしています。そう思うと、ハンナにとってのプライドは、文盲とかというのではなく、まさに人間のプライドそのものだったと思います。彼女のみが、真摯にナチスの犯罪に向き合っていることを感じました。
ミヒャエルは、法律家の過程で、かつ自らも法を語る法律家です。ミヒャエルの言葉は、社会を語るものをあらわすように感じましたが、だからこそ、法とナチスの問題との距離感の難しさを感じました。
>bonnbonn さん
いらっしゃいませ、こんばんは
見ると色々考えさせられる映画でしたね。
なぜハンナはそうしたのか?他の道はなかったのか?戦争と戦争犯罪、そして法律と裁かれる者について私も沢山考えさせられました。
また他の方の感想や意見もなるほどそんな見方もあったのか~と、目から鱗でとても面白く読ませていただいてます。

また、何か気になる映画ありましたらどんどんコメントくださいね!
No title
優柔不断な男だったという事ではないのでしょうか?
弁護士を目指したのに面接はすっぽかす 真実は言えない 20年もたってるのに いつまでも昔の事を思っている 朗読したカセットは送る 収容所に会いも行かない 手紙は出さない 出所後 暮らそうともしない 
大きくなったはね 坊やの一言が全てだったような
娘に昔の女のお墓に連れていく 娘さんはどう思うのでしょうか? 良い映画とは言えません 
良く解らないです さん
そうですよね~。
この男って、狭量というか人間が出来てなさすぎ。もっと大人になれよ(怒)って感じがしますよね。自分一人の苦しみに囚われて、ハンナの悲しみや妻の苦悩、娘がどう捉えるかはあまり考えてなさそうですしねぇ。
でも娘の人生は娘の物ですし、こんな情け無い父を持った事が娘の心のバネになり深みのある人間に育ったかもしれませんよ~。
人間万事塞翁が馬です。彼女の人生が実り多い物になっていたら良いですね!(まぁ映画オリジナルのキャラですが)
No title
後味の悪い映画の一言に尽きる!
No title
はじめまして。

今日初めてテレビ放映でこの映画を観たのですが、
私はすごく良い映画だと思いました。
ブログ主さまもお書きになっていらっしゃいますが
少年期から青年期のマイケル役の役者さんが素晴らしかったですね。

原作を読んでみたくなりネットを探していたら
こちらにたどりついて、みなさんのコメントを読ませて
いただき、本当に人それぞれいろんな感想をもつものだな~と(当たり前の事ですが)少々驚きました。

私はとても感動しました。
原作を読んでみます。
>あっこ さん
あっこ さん、いらっしゃいませ。
本当に色々な見方が出来る映画&原作でした。ぜひ原作もお楽しみ下さい。
それに年齢を重ねるとまた違った感想を持たれると思います。

もし戦争中、高収入な看守の仕事があれば、喜んで応募したでしょう。それを戦争犯罪と罰する資格が現代の私たちにあるのか?映画を見た私たちはハンナに同情してしまいますが、逆に罪のない人々が教会に閉じ込められ死んだのに、誰も責任を問われないのでは正義ではないとも感じます。本当に難しいテーマですよね。

管理者のみに表示
Trackback
原題:The Reader 2008年/アメリカ ドイツ  監督:スティーヴン・ダルトリー 脚本:デヴィッド・ヘア 原作:ベルンハルト・シュリンク 「朗...
管理人の承認後に表示されます

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。