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2009/03/25

映画「グラン・トリノ」感想

グラントリノ

グラン・トリノ見てきました。
噂に違わず非常に良い映画でした。4月25日公開ですが、今年のGWなにか1本見るなら絶対コレだと思います。非常にシンプルなストーリーで分りやすく、笑える場面もありながら感動できる映画でした。
1時間57分無駄な部分がない、伏線が見事に張り巡らされているのにあざとくない、人種差別や移民の問題を描いているのに説教臭くないという素晴らしい脚本で、最後は静かな感動で涙が溢れる爽やかなラストです。

ストーリーはクリント・イーストウッドの演じる偏屈で頑固な朝鮮戦争の帰還兵ウォルト・コワルスキーが隣人との交流を通じて、自らの先入観や偏見を改めていくというものです。

コワルスキーは孫娘のヘソ出しルックにケチを付け、神父を追い返し、人種差別発言をする偏狭なお爺さんです。一方隣人のモン族の少年タオは16歳、父は早く死に、祖母・母・姉のスーと暮らしていますが、不良グループに引き込まれコワルスキーの愛車”グラン・トリノ”を盗みに入ったのがきっかけで行き来が始まります。

父のいないタオには男として手本になる人がいない、一方ウォルト・コワルスキーには息子二人と上手くつきあえず親としての喜びを実感できるような親子関係がない、また息子達の義務的な付き合いとは違う心からウォルトを気にかけているしっかり者の姉・スーとの交流もコワルスキーの心を解きほぐしていきます。

登場人物のキャスティングがとても良くて、どの役もそれぞれのキャラクターにぴったりで自然です。モン族のキャストはモン族のコミュニティでオーディションして決めたそうですが、タオの優しいけど気弱で自信なげな感じやスーの明るく頭の良い感じが良く出ています。

息子達やその家族、神父、床屋の主人なども良いキャスティングでいかにも今時のアメリカ人らしいキャラクターでした。そしてクリント・イーストウッドが演じるコワルスキーが気に入らないものに罵詈雑言を吐き、うぐぐぐと唸り、つばを吐き、不良共に銃を向ける活きの良い頑固爺さん。愛嬌があるというか愛すべきキャラクターです。
最初は嫌なお爺さんだな~と思って見てるのですが、次第に可愛いじゃんになり、良い人や~となっていきました。
昔イーストウッドが演じていた人間離れしたタフな警官や西部劇の主人公も格好良かったですが、このお爺さんも今の年齢でしか演じられない味のあるキャラクターでした。この作品が俳優引退作かもしれないそうですが、長い俳優生活の集大成としても満足できるキャラクターだったのではないでしょうか。

かってコワルスキーが働いていた自動車工場は閉鎖され、自動車産業のベッドタウンだった街は寂れモン族をはじめとするアジア系、ラテン系、アフリカ系の若いゴロツキグループが我が物顔で通りを闊歩しています。
お金に余裕のある人達は新しく治安のいい住宅地に引っ越し近隣の住宅は老朽化しています。ユーモアーに溢れる姉スーの名言「(移民の)女は大学に行き、男は刑務所に行く」という通り、この街の病院のドクターも看護師もアジア系やイスラムの女性です。

タオやスーや従兄弟のスモーキーたち移民二世の抱える問題は簡単には解決しません。親世代は死にものぐるいでアメリカでの生活を手に入れ、糊口を凌いだのに比べ二世達はアメリカで生まれ育ったけれどアメリカ人であってアメリカ人ではない、三世・四世を出すほどにはまだアメリカに根付いていない世代で、どう生きるかというお手本が確立していない世代とも言えます。

言葉や教育の壁もあるし世話をしてくれる先輩もいない社会で生きていくのは、しっかりした目標やビジョンとお金がないと難しいし、他の不良から身を守るにはどこかのグループに属すのが手っ取り早くマッチョな行動に思えます。そして男らしさを誇示するために暴力や犯罪をエスカレートさせて破滅的で出口のない袋小路な未来に向かって突き進むしかありません。
このあたりはイタリアやアイリッシュの移民の歴史と被りますね。

こういう背景のなかでストーリーは進み、伏線が結構あるので最後の方の展開は読めます。でもミリオンダラー・ベイビーのような暗さ・やりきれなさがなく、救いがある未来に向かった明るいラストでした。
評価が高いのも納得です。三月なのでまだ暫定ですが今年一番の作品だと思います。


原題:Gran Torino
監督・製作:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
音楽:カイル・イーストウッド、マイケル・スティーブンス
上映時間:1時間57分
出演:クリント・イーストウッド
映画公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/
日本公開日:2009年4月25日

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公式HPではプロダクションノートがダウンロードできます。キャスティングの話や詳しいストーリーが載っているので、映画をご覧になったら是非どうぞ。

※サウンド・トラックCDは出ていませんが、iTunesで下記の曲が¥150でした。(試聴もできます。)
イーストウッドと歌ってるバージョンとJamie Cullumのみなど全3種類あるのでよく見て買いましょう。
Gran Torino (Original Theme Song From The Motion Picture)by Jamie Cullum
米国Amazonでも$0.99でダウンロード販売しているようです。日本から買えるのかは知りませんが買えるならこっちの方が安いですね。

関連記事:
映画「スラムドッグ$ミリオネア」感想
イーストウッド監督作・映画「チェンジリング」感想
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映画の感想 | Comments(11) | Trackback(11)
Comment
お久しぶりです
「グラン・トリノ」私も、気になっている映画です。
映画館で見るか&DVDで見るか・・・・・・かな?

道元の話の”禅”も気になってるんだけど、近くの映画館に来たら~と今にいたってるんです(汗)
これ、すっごいいいですよね!私も一押しです。

http://princesschu.blog23.fc2.com/blog-entry-628.html
コメント有り難うございます。
>Risakoさん
ご無沙汰してます~。
「グラン・トリノ」は是非是非ご覧下さいませ!4月末公開なのでDVDになるのは秋くらいでしょうね。音楽も良かったですよ。
道元の映画は予告とっても綺麗ですね。私の住んでるところでは公開無しでした。しかしこの公開館の偏り具合は禅宗が盛んな地域でのみ公開してるのでしょうか?う~ん、不思議です。

>チュチュ姫さん
本当に!以前ご紹介なさってましたが、私もとっても感動しました。
こんにちは(^o^)

ご訪問&温かいコメントをありがとうござまいす。

GWにオススメの映画なんですね♪
チェックしておきま~す。
こんにちは!

私もこの映画見てきました。
なかなかの問題作(いい意味で)。

しかし、こげな事いってもいいのぉ?っていう言葉がバンバカ出ていましたよね。
字幕がどう訳しているのか興味シンシンです。
もう一度見てもいい映画ですね。
私もお勧めしたい映画の一本です。
結局劇場へは行かなかったので
DVD発売を待つ今日この頃です。

大体の概要はつかめました。なんというか、Flag of FathersとLetters from Iwo Jimaでも思ったのですが、私が個人的にすごくSensitiveになっている題材を、私にもそしてアメリカ人にも納得できるように描いてくれるところが偉いし頭いいよねーと思います。視点がきっと一般庶民なんですよね。

さすが市長になるだけのことはある。
コメントありがとうございます。
>とまと さん

いつも心温まる記事で楽しく読んでいます。
この映画も心温まる部分と笑えて考えさせられる所があります。
是非どうぞ~。


>ティブロン さん

四文字熟語も多かったですよね!
「・・・を?」「ので?」「かもだ!」が無かったので気付かなかったけれど、翻訳は戸田奈津子さんでした。上品というか無難な罵倒語になってましたね。少し差別主義者っぽさが薄れていたかもしれません。
でも本当に良い映画でした。私もまた見たいです。


>LimeGreen さん

あぁ、そうです!「一般庶民の視点」からこの辺の問題を描いてるから感動したんですね。言われてすっきりしました。有り難うございます。
映画是非DVDで楽しんで下さい。


>pinga さん

そうですか、残念でしたね。映画の合う・合わない、面白い・面白くないはその人の趣味趣向やその時の状況で全く違いますものね。私も皆が絶賛だけど苦手な映画があります。理屈じゃないですよね。
pingaさんのGWお勧めの映画などありましたら是非ご紹介下さいね。
見てきました
連休の合間の昨日、グラントリノ見てきました。映画館では涙を見せない私も涙してしまうほど、心を動かされる映画でしたが、映画を見て分からないことが2つあります。1つは、チンピラが乗っていた車が日本メーカのホンダ車なのかということ。映画のタイトルが車のタイトルなので、単に今の時代の象徴ということ以外にきっと何某かの理由があるのではないかと思ってしまいます。
もう一つは、家族にも心を開かない主人公が別人種の隣人に心を開いたのか。妻が他界して一人になったとか隣人の振る舞いも原因とは思いますが、家族と隣人のモン族との違い、監督が見せたかったのはなんだったのか、気になってしまいます。
>momo_chanさん
本当に良い映画ですよね~!
チンピラが乗っていた車ホンダだったんですね?気付きませんでした。

コワルスキーが72年に組み立てたグラン・トリノがアメ車の代表で芝生を綺麗に刈り込み手入れをした家がアメリカの象徴とすれば、移民の彼らがホンダに乗ってるのも意味があるんでしょうね。73年のオイルショックでアメリカでも燃費の良い車にシフトしていくので、デトロイトという街が寂れる前の車がグラン・トリノですから。

アメリカは移民を飲み込み順化する国なので、アメリカの徳目(芝生を刈り、家を修理し、困ってる人を助け、初対面の人に挨拶し、仕事をして金を稼ぐetc)をマスターすれば民族や肌の色に関わらずアメリカ人になってしまいます。

モン族に心を開くのも父から子に伝えるべきアメリカの徳目を実子じゃなく移民の彼らに伝承するのも色々意味がありそうですよね!

DVDになったらまた見て、そういうのも考えてみたいと思います。
TBありがとうございました。
TB有難うございました。
クリント・イーストウッドの俳優業引退説も
囁かれましたが、こんなに貫禄のある演技を
観ると俳優業もそして、監督業も情熱の
続く限り続けて欲しいと思いました。
ラストの余韻は上映後も残りました。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
>シムウナ さん
クリント・イーストウッド作品、人物を見つめる目の温かさに毎回泣かされます。
俳優としても監督としても素晴らしい作品を生み続けてるのも素晴らしいですね。次回作も本当に楽しみです。


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