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2010/10/24

原作本「100歳の少年と12通の手紙」感想

「100歳の少年と12通の手紙」読みました。
短い作品で、さらっと読み終えてしまいますが、「生」「死」について、10歳の子どもでも分かる言葉と考え方でつきつめ、ユーモアーも忘れない温かな物語です。
実際自分の「死」について考えると「生きる」の意味を知りたくなります。オスカルが至った心境がたった一つの答ではありませんが、信仰や生死について思いを巡らしたくなる本です。

ストーリーは「不治の病におかされているオスカルは、マミーローズに教えられて、一日を10年間として考えて日々の生活を送ることにする。そのなかでオスカルは年を重ね、生きる意味を自分で悟っていく」物語です。

映画の予告どおり子どもが不治の病で死ぬ話、しかもオスカーは10歳。これから人生が始まる年ごろなのに、その前に死んでしまう運命です。
ピンクの白衣を着たボランティア女性・マミーローズは自分の故郷の「年末12日間の天気を観察することで、翌年12ヶ月の天気がだいたいわかる」占いをオスカルに教え、1日を10年と考えその日の出来事を観察し、神さまに手紙を書くようにすすめます。
1日10歳ずつ歳を重ねるオスカルはその中で人生の様々な出来事を経験します。もうこの辺の流れはすごく巧い。死に行く子の親、担当医師など、周りの登場人物描写も計算つくされた感じです。
あざといとまで言いませんが、オスカーが良い子過ぎて、こんなに達観しなくてもいいのに、もっとジタバタしても良いのよ~っと切なくなってしまいました。
実際自分が死ぬときは絶対ジタバタすると思いますし、自分の親兄弟にもジタバタしてもらった方が気が楽です。多少糞ガキ、糞ババア、糞ジジイでも思い出で美化するものなのに、こんな良い子が死んだら、神さまに感謝する気持ちになれませんし、悲しすぎて立ち直れません。

でも自らの死を前にすると、人は信仰の対象となる人知を超えた絶対的存在「神」(この話ではキリストとなっていますが、ヤハウェでもアッラーフでも仏とも呼ばれる何か)と会話したくなっちゃうんでしょうね。
自分が世界から受け取っている物(空気や日光や食物や命や人との関わりetc)について当然のように考えがちですが、よくよく考えると凄い事なんだなぁとオスカルの目を通して考えさせられました。

もともとダニエル・ダリューの戯曲のために書かれた本で、戯曲にもなっています。薔薇の名前にもなっていいるダニエルダリューが、マミーローズというのも洒落ています。
映画は予告見ただけでも子役が愛らしくて涙出そうです。原作にはないローズの母などどんな脚色があるのかも楽しみです。




邦題:100歳の少年と12通の手紙
監督・脚本・原作: エリック・=エマニュエル・シュミット
音楽: ミシェル・ルグラン
出演:ミシェル・ラロック 、アミール 、マックス・フォン・シドー 、アミラ・カサール 、ミレーヌ・ドモンジョ
公式HP http://100-12.com/
公開日:2010年11月6日(土)

4309205526
100歳の少年と12通の手紙
エリック=エマニュエル シュミット (著), Eric‐Emmanuel Schmitt (原著), 阪田 由美子 (翻訳)
単行本: 116ページ
出版社: 河出書房新社 (2010/10/21)
ISBN-10: 4309205526
ISBN-13: 978-4309205526
発売日: 2010/10/21
商品の寸法: 17.4 x 13.2 x 1.6 cm

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映画の原作本 | Comments(2) | Trackback(1)
2010/02/27

原作本「インビクタス~負けざる者たち 」感想

イーストウッド監督の最新作「インビクタス~負けざる者たち」の原作本読みました。
南アフリカ共和国という国を知るのに良い入門書であると共に、人の上に立つ人間の人心掌握術についても知る事ができ、映画を先に見て展開は知っていたにも関わらず、ラスト優勝カップを渡す場面では胸が熱くなりました。


4140814063インビクタス~負けざる者たち (単行本(ソフトカバー))
1995年、ラグビーワールドカップ。南アフリカチーム、奇跡の優勝の陰には、ネルソン・マンデラがいた。彼の真の目的は…。マンデラの全面的な協力を得たジャーナリストによるノンフィクションの傑作。
内容(「BOOK」データベースより)
ジョン カーリン (著), 八坂 ありさ (翻訳)



本書はスポーツ感動物というより、マンデラの伝記的な作品で、優勝カップを受け取った主将の言葉「いえ、大統領。あなたに、あなたがこの国にしてくださったことに、心から感謝します」という、ネルソン・マンデラが南アフリカにもたらした民族的な和解を書いたノンフィクションです。
300ページほどのうち、前200ページはマンデラが獄中に繋がれながらも和平をもたらす政治活動をし、釈放、選挙をへて大統領になるまでに割き、アパルトヘイトの国がいかに人道的かつあざやかに圧政から民主主義の国に変わったかが書かれています。

しかし民主的な国家となっても、2つの国旗、11の公用語、9つの民族、アフリカーナと呼ばれる白人もオランダ系・イギリス系・ユダヤ系などに分かれ貧富の差があり、混沌とした状況にかわりありません。
民主的な国家という器は整っても、黒人と白人の精神的な溝は埋まらずバラバラであった南アフリカを「ひとつのチーム、ひとつの国」という真の和解に向けるマンデラの政策が数々の試練を越え、試合場の「ネルソン、ネルソン」という観客のコールになるところはとても感動的でした。

ただ、中盤の刑務所を出て主将のピナールとの会談までは、登場人物も多く、しかも唐突に名前が出てその後に人物説明されるので、「あれ?この人前にも出たっけ?」と少々混乱してしまいました。
しかしそれらの様々な立場の人々が決勝戦をどこでどんな心境で見ていたのかというラストで、憎しみと争いの歴史を越えて国民がひとつになった熱気が伝わり、その時代その場にいたような高揚感・一体感を覚えました。

「応援してくれたのは(スタジアムの)62,000人のファンではありません。4,300万人の南アフリカ国民です」という主将ピナールの言葉にも、前半の記述でアパルトヘイトでどんな差別や抑圧が行われてたか・当時の南アフリカの状況を分かってるだけに、胸にぐっとくるものがあります。

現実の南アフリカ共和国は人種間の格差も残り、貧困・治安の問題など、「虹色の国」にはまだなってないませんが、読後はアパルトヘイトの国・恐ろしい抑圧が行われていた国というイメージから、復讐心を満たす選択をせず、圧政者を許した人々が作る明るい未来が開けている国という印象に変わりました。
オリンピックもそうですが、国際試合があるスポーツは全て政治利用される宿命だと思います。スポーツを政治に利用するなと言いますが、こういう良い利用例もあるんですね。

映画ではクローズアップされていた獄中でマンデラが心の支えとしていた詩「インビクタス」にはについては記述が無く、原題の"PLAYING THE ENEMY"から映画題の「インビクタス」に書名を変えたのが無理矢理っぽいのはご愛敬でした。


おススメ度:★★★☆☆

インビクタス~負けざる者たち (単行本(ソフトカバー))
ジョン カーリン (著), 八坂 ありさ (翻訳)
単行本(ソフトカバー): 336ページ
出版社: 日本放送出版協会 (2009/12/21)
ISBN-10: 4140814063
ISBN-13: 978-4140814062
発売日: 2009/12/21
商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 2.6 cm
定価:2,100円

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2009/12/20

「ザ・ハウス・オブ・グッチ 」感想

アンジェリーナ・ジョリーが、マウリツィオ・グッチを射殺した真犯人として逮捕される元妻パトリツィアを演じる企画を聞いて、グッチ(wiki)関連本「ザ・ハウス・オブ・グッチ 」を読みました。

グッチの歴史を知る歴史書だけじゃなく、グローバルビジネスがどんな物なのかを知るビジネス書としても楽しめ、何より愛憎・権力・富・贅沢・嫉妬と欲望が渦巻く壮大なドラマに夢中になりました。これが実話とは「イタリア恐るべし!」って感じです。

これは一部だけを取り出して映画にするよりTVドラマ「ROME[ローマ](wiki)」を作ったHBOとBBCに、5シーズンくらいのドラマにしていただいてじっくり見たい話です。

ザ・ハウス・オブ・グッチザ・ハウス・オブ・グッチ
(2004/09)
サラ・ゲイ フォーデン
一族の内紛から混乱を極めていた高級ブランドのグッチは、1990年代後半、復活した。
本書はイタリアの同族企業だったグッチが、外部から資本や経営陣を受け入れて、グローバル企業に発展するまでの過程を詳細に描く。

**残念ながら品切れみたいなので図書館または中古本を探して下さい。でもこんなに面白い本なんだから是非文庫にして欲しいですよね!**


この本を読む前に、NHKスペシャル「家族の肖像~激動を生きぬく第9集 グッチ家 失われたブランド」( 放送日: 1998年1月25日・単行本もあり)を再度ビデオで見たので、グッチの始まりや家族経営が引き起こす骨肉の争い、オイルマネーの乗っ取りという大まかな流れは把握していました。しかしドキュメンタリーがあくまでグッチ家の栄光と没落、再生への苦闘を描いているのに対し、本はグッチというブランドが主役です。ブランドは関わる人間を栄養として育ち、栄え、また萎み、金を生み出し、そしてその金目当てにまた人が群がっていきます。

ともかくグッチ家の骨肉の争いがそこらの映画やドラマより面白いです。登場人物がみんな個性豊かで濃い!読んでいてアクの強い俳優が演じているかのような錯覚を覚えるほど、描写も生き生きとしています。実在の人物ばかりなのであたり前ですが、どの人物にも様々な背景があるのを短い単語で描ききったジャーナリスト出身のサラ・ゲイ・フォーデンの筆力が冴えています。
たとえばパトリツィアを逮捕に来るニンニ署長の描写。
「ニンニは老練な刑事で、ミラノの麻薬取引撲滅にこれまでの職業人生を捧げてきた。豪勢な居間でパトリツィア・レッジャーニの前に立っているよりも、マフィアのボスを尾行したり、廃屋になっている倉庫に押し込るほうがずっと気が楽だ。」
叩き上げの渋い刑事が眼に浮かびますよね!
他にもたった数行しか登場しないブルネイの王様すらすごい存在感です。

逆に言うと登場人物が多くそれぞれ個性的すぎるので、一気に読まないと誰が誰かさっぱり分からなくなります。私は忙しくて数ページずつ読んだせいで「アレ?この人誰だっけ」となってしまいました。一気に読めない人は、登場人物一覧表でも作らないと混乱するかもしれません。

前半は親子・肉親・夫婦との骨肉の争い、中盤からはグローバルビジネス・投資会社との戦いとなりますが、それぞれの人物や出来事が詳細に描かれているので、その場に居合わせたかのような臨場感です。

またビジネス書としてもとても分かりやすく市場経済や企業買収を知ることができます。個人経営・家族経営企業では、資金力・経営手腕で世界的な競争に勝つことはできず、経営のプロと組むかブランドを売り渡すという選択をせまられるものなんですね。
1999年に高田賢三がブランドを売り渡しデザイナーを引退したニュースを聞いた時は、隠居的なイメージで捉えていましたが、あれもグローバルな競争でのブランド買収の結果、引退だったのかもしれません。

2001年10月出版された原本"The House of Gucci"はLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)との戦いにPPR(ピノー・プランタン・ルドゥート)傘下に入ることで勝ったところで終わりますが、2004年には最高経営責任者ドメニコ・デ・ソーレ、デザイナーのトム・フォードが会社を去っており、この本の後にも色々な動きがあったね~と感慨深いです。そういえばTVではオイルマネーの会社が少し悪役に描かれていましたが、本書ではあくまで投資会社となってるあたり、著者の苦労が忍ばれました。

(そのトム・フォードは今年「シングル・マン」(2009年)で映画監督デビューを果たし、沢山の賞にノミネートされています。結果が楽しみですね!日本では東京国際映画祭で上映されましたが、一般公開は無いのでしょうか?是非公開して欲しいですよね。)

この本がアンジーが主演映画の原作かどうかは分かりませんが、同じ事実を元に映画化するはずなので大きくはずれたストーリーでは無いと思います。
エンターテイメントとしてもビジネス書としても楽しめる一石二鳥の本ですが、多少まとまった時間が取れる時に一気読みをおすすめします。

おすすめ度:★★★★★

ザ・ハウス・オブ・グッチ (単行本)
サラ・ゲイ フォーデン (著), 実川 元子 (翻訳)
単行本: 431ページ
出版社: 講談社 (2004/09)
ISBN-10: 4062109700
ISBN-13: 978-4062109703
発売日: 2004/09
商品の寸法: 19 x 13.4 x 3.4 cm

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2009/11/04

ヴィゴ・モーテンセン主演映画の原作「ザ・ロード」感想

ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化される「ザ・ロード」読みました。
心理描写がなく読点もなく淡々と終末世界を旅する父子を描いた作品で、とてもアメリカらしい話でした。でも日本人には宗教や文化の違いから理解しづらい本だと思います。というか、私にはさっぱりこの本の主張が分かりませんでした。

ザ・ロードザ・ロード
(2008/06/17)
コーマック・マッカーシー

人類の大半が死に絶え、生き延びた人間たちもわずかな食糧を求めて非道を繰り返す終末世界で、寒さを逃れて南へと宛のない旅を続ける一組の父子を主人公に、飢えや他の生存者の襲撃から愛する我が子の命と人間性をただひたすらに守り通そうとする父親の絶望的な運命への抗いを、冷徹な描写で描ききった衝撃のサバイバル・ロード・ノベル。



核戦争後の荒廃した世界では生き残ることこそが目的となります。そんななかで人間性を失わず「善」であろうとする父親は激しく「悪」と対立します。

でもこの対立する「悪」ってそんなに「悪」なんでしょうか?
「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや。」と親鸞さんは言ってますが、この「悪人」とは悪行を働く犯罪者ではありません。
普段私たちは自分が正しいと思う事を主張しますが、相手もまた相手が正しいと思うことを主張しているだけです。善と善がぶつかり喧嘩になり戦争をおこしているのです。そんなつもりじゃなくても、存在自体が相手に不快な思いをさせているかもしれません。
また私たちは毎日他の生命を食べることで生きています。
そう考えると自らを一辺の曇りなく善であると言い切れる「善人」はいないのではないでしょうか。

一方、自らの正義を疑わず「世界の警察」であるアメリカで「善」であることにこだわった父親が「善」そのものの無垢な息子と旅を続け、自分とは違う主張をしている「悪」と戦います。
世界が崩壊し他の人は違う価値観で生きているだけなのに、そこにのこのこ出ていって自分の正義を押しつける父親は実にアメリカらしいです。

また、心理描写もなく会話が淡々と綴られるため子供にリアリティがなく、理想の父親像を書くために作り上げた理想の息子という感じがします。
多分この無垢な息子に神の子=キリストを重ね合わせんでしょうが、こういう理想的な子供描写って嘘くさくてたまりません。
こんな核戦争後の荒んだ世界を旅するのですから、注意するにこしたことはないのに、この息子はアホちゃうのかと突っ込むくらい無垢です。まるで小公子のセドリックのような理想的な子供っぷりに違和感ありすぎでした。
そのせいで酷い目にあう父親は自業自得、これは無垢じゃなくて無知ですよね?しかも最後はそんなオチかい…とますますモヤモヤしてしまいました。

また、本には読むべき時期があるのですが、私はちょっと外してしまった感じです。

グルメ絶賛のフランス料理だって、胃腸が弱って苦しい時は食べられないし、飢餓状態なら不味いと評判の社食だってご馳走です。とても美味しいラーメン食べた直後にいつもは美味しいと思うラーメン食べても物足らなく感じてしまうものです。
私にとってこの「ザ・ロード」はちょうどそんな本で、面白い良い本だと思うけれど、核戦争後の世界はマンガで散々読んだりアニメで見慣れたものだし、クールで個性的な文体はノリが合わず読みにくかったです。

多分2~3歳までの息子をもつ父親が読んだら、あぁ自分もこういう理想的な父子になりたいと思えるのかもしれません。クールな文体もいかにも男性が好みそうです。
またSF好きにはありふれたプロットでも、善と悪の戦いを描いた文芸書と思えば新鮮かもしれません。なにせアメリカではピュリッツァー賞も受賞し、巨匠の代表作と評価も高いのですから。
終末世界を描いたSFを読む前の10代の時期に、あるいはイラン戦争にアメリカが出しゃばる以前にこれを読んだらそれなりに感動しそうな本だと思いました。

おすすめ度:★★★☆☆
ハードカバー: 270ページ
出版社: 早川書房 (2008/6/17)
言語 日本語, 日本語, 日本語
ISBN-10: 4152089261
ISBN-13: 978-4152089267
商品の寸法: 19 x 12.8 x 2.6 cm



映画は監督はジョン・ヒルコート、主演ヴィゴ・モーテンセン、コディ・スミット=マクフィー、シャーリーズ・セロン、ガイ・ピアース、ロバート・デュヴァルが出演します。
灰色がかった終末世界の描写、ヴィゴの父性愛などがどんなふうに描かれるか楽しみです。

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2009/10/27

『プレシャス(Precious: Based on the Novel Push by Sapphire)』原作「プッシュ (単行本)」 感想

2009年サンダンス映画祭でグランプリと観客賞を獲得し、昨年「スラム・ドッグ・ミリオネア」が受賞したことで注目を集めていたトロント映画祭でも観客賞をとり、今年のアカデミー賞有力作といわれている、『プレシャス:ベイスド・オン・ザ・ノベル・プッシュ・バイ・サファイア(Precious: Based on the Novel Push by Sapphire)』(原題)の原作「プッシュ」読みました。

普段本を読むのは自分以外の考え方や人生を疑似体験する事と思ってる私ですが、主人公プリシャスの人生は全く共感も理解もできず何が言いたいのか分からない小説でした。

プッシュプッシュ
(1998/02)
サファイアSapphire
ストーリーは「父親の二人目の子を妊娠し、母親にはいたぶられ続ける16歳のプリシャス。死んでいた彼女の感情を生き返らせたのは、レイン先生との出会いだった。酷い運命に傷つけられながらも、ひたむきに自由を求める少女の魂の軌跡。 」というものです。
「MARC」データベースより


人間心理に詳しく人生経験が豊富な人ならなるほどと思うストーリーかもしれませんが、お馬鹿な私には登場人物の思考回路が全く理解できず、不快なばかりで、何の魅力も感じられませんでした。
設定も多分自分には合わないんだと思いますが、日本語訳もあんまり良くないのか、どんなに読んでも登場人物が何を考えているのかその気持ちがすとんと胸に落ちてこないので全然心動かされません。

自分が授業分からないからと言って高校の授業を邪魔する主人公の行動にまずあきれ、お腹がすいたので食い逃げするのに驚き、罪悪感が全くないのも嫌でした。

それもこれも文字を読めず世界が狭いせいなのよ~という主張も、なんか違う気がしてもぞもぞします。
つまり文盲だと抽象的な思考ができず自己中心的な行動をしてしまうって事なのかなぁと思いつつ読みましたが、いまひとつ何が言いたいのかわかりません。
就学前の幼児がお金も払わずお店の商品を食べるような、自分の都合良い妄想が現実と思い込むような精神構造だって事でしょうか?文字が読めなくても17歳までずっと学校に行ってるのに、そこまで精神が未発達なんですかね?しかも文字が読めるようになったらあっという間に権利主張しちゃう始末です。
この主人公よりSF本に出てくる宇宙人の思考回路の方がずっと共感して理解できます。
第一、一人の人間に悲劇てんこもりすぎ、ぜんぶのせ状態です。

アフリカ系アメリカ人やスラム事情、あるいは虐待児童に詳しく心理学をやった人には面白いのかもしれません。私にはハードルが高すぎてさっぱり良さが分からない本でした。


おすすめ度:☆☆☆☆
プッシュ
著者 サファイア
単行本: 258ページ
出版社: 河出書房新社 (1998/02)
ISBN-10: 4309202969
ISBN-13: 978-4309202969
発売日: 1998/02


原作には全く共感出来なかったのですが、映像でみたら説得力があり面白いかもしれません。日本公開されるように、アメリカでのヒットやこれからの賞レースが楽しみです。



原題:Precious: Based on the Novel Push by Sapphire
監督:リー・ダニエルス
原作:「プッシュ」サファイアSapphire
出演:ガボリー・‘ギャビー’・シディベ、マライア・キャリー、レニー・クラヴィッツ、モニーク、ポーラ・パットン
公式HP: http://www.weareallprecious.com/
wiki(日本語)
上映時間:104分
サンセバスチャン国際映画祭2009 観客賞受賞
サンダンス映画祭2009審査員グランプリ受賞
サンダンス映画祭2009観客賞受賞
サンダンス映画祭2009パフォーマンス賞(モニーク)受賞
カンヌ国際映画祭2009 ある視点部門出品
トロント国際映画祭2009 観客賞受賞

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トロント国際映画祭観客賞は『プレシャス!』 “Precious: Based on the Novel "Push" by Sapphire”

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